気持ちのつながりは難しい

ゼミの運営は難しいねえ。私のゼミは、希望者には、あらかじめ「ゼミ優先の生活をすること」と「初歩的な技術力(html)を一ヶ月で身につけて欲しい」ことを了承してもらうことにしている。

しかし、現実はそうなっていない。特に、後者の進展がほとんどない。また、ゼミ生と新しい試みを始めて欲しいのだが、ゼミ内の交流もさかんではない。

そこで、学生の不満が教員に向く。これではまずいので、まず、来年度の研究計画に関する面談を実施し、就職と研究計画とが密接な関係にあることを説明する。その中で、各自の研究計画を引き出していく。するとほとんどの場合、学生側は、明確な計画を持っていない。そこで、現在の関心や興味について引き出していくと、少しずつうち解けていく。

「こんなテーマでも研究になるんだ」「筒井ゼミではこんなテーマも許されるんだ」という意外な反応が多い。これは私にとっても意外。

だいたい研究とは、自分の好きなことに取り組むことだし、客観的な事実や理論などが揃えられれば、書ける。しかも、社会メディア学科にふさわしいテーマかどうかを最初に気に掛けるよりも、だんだんそこに近づけていけばいいと思っている。こう思っていない学生がわりと多い。

私を見て欲しい。法学部の国際関係論、ドイツ外交史専攻でありながら、現在は、大学教育、NPO、e-learning、メディア論を専門にしている。なんといいかげんなことか。こういうタイプだから、学生の問題関心にもできるだけ幅広く応えようと思っている。

ただし、最初からどんなテーマでも良いとは言わない。NPO、メディア、インターネットなどのキーワードの範囲がゼミ全体で取り組むことなので、そこを了承してくれれば、個人研究はもっと幅広くて良いと思う。

自分の興味のあることを学問にし、それが将来に役立ってくれればいいんだよ!

さあ、まず、自分の興味を具体化しよう。

「Amazonギフト券欲しい!」

と書くと、抽選でギフト券があたるかもしれないので、書きます。

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大学教育学会ラウンドテーブル報告許可される

6月に開催される大学教育学会において、日本語表現法に関するラウンドテーブルの報告申込をしていたが、本日、許可された。既に昨年から日本語教育学会での報告や先日の『日本語表現ことはじめ』の出版もあり、言語表現科目創設十年間を回顧すると共に、日本語表現法を歴史からと外から見てみたいと思った。

パネリストは、日本語教師の三宅和子さん、言語表現科目の重鎮であった向後千春さん、それに私ともう一人は未定である。私が、これまでの日本語表現法を回顧しつつ、その成果と今後の課題を話すことで問題提起をする。三宅さんは、外国人から日本人へと教える対象が変わった視点から。向後さんは、言語表現の内部から、現在では社会人向けの文章教室の視点から、もう一人には企業や社会の文章トレーニングの視点からを予定している。

もう一つ別のセッションが河合塾の成田さんが開催予定である。ここでは、より実践的な事例を紹介しながら議論することになる。当方では、日本語表現法の関係者と、興味はあってもまだそこに関わっていない会員の方を対象にしている。

来月終わりには、テーブルの要旨の締めきりである。それまでに、パネリストの確定と役割分担をしていくことになる。二つとテーブルはいずれもかなり興味を持つ会員がいると思う。頑張らなくては。

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ついに13刷達成!

出版社から本が送られてくるのはわくわくする。多くの場合は、知りあいが出版した本の献本だ。知りあいがいい本を出すと正直ちょっとやられたな、と思いながらも、他方で、自分も頑張ろうという意欲が沸く。

しかし、今日送られてきた本は違った。「自己表現力の教室」を発行している情報センター出版局からのものだった。これが実は一番うれしい。というのは、増す刷りの可能性があるからだ。開封してみたら、同封された手紙に、「13刷、2000部増刷」の字が躍っている。

出版後四年目年の昨年は、11,12刷と増刷を重ね、五年目の今年が13刷。いずれも2000部ずつである。一般書の命は実に短いなかで、五年目に入っても増刷を重ねるのは快挙と言うしかない。共著者の中で、荒木さんはテキストにしているが、向後さんと私は学内ではこのテキストを使用する講義は担当していない。そのなかで、一般の方がよく買って頂いているのだと思う。ありがたいことだ。

自己表現力の教室

自己表現力の教室

  • 作者: 荒木晶子,筒井洋一,向後千春
  • 出版社/メーカー: 情報センター出版局
  • 発売日: 2000/04/05
  • メディア: 単行本
  • 購入: 4人 クリック: 27回

既に三万4000部出版されたので、そろそろ改訂版を出したいと思っている。だが、編集担当者が出版社を辞めたので、何ともできないまま今日に至っている。一度話してみようかと思う。

でも、これだけ売れている本は、一体誰が買っているのだろうか。

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いよいよ新学期のはじまりだ

四月になると新入生が入ってくるので、在学生のオリエンテーションは三月中に済ませておこうという方法が、今年からはじまった。この大学は、学生サービスには異様に手を掛ける。しかも、事務ではなく、教員がするのである。教員はさぼっているとか言われるが、この大学、この学科の場合にはそれはない。よく頑張りますわ。

ただ、学生サービスを充実するために、毎年、制度を大幅に変えるのもこの大学の特徴だ。もちろん、それは誠意の表れなのだけれども、変更内容を熟知していないと困ることもある。資料をしっかり読み込んでいればいいのだけれども気をつけないとね。

ここ数年の経験からすると、特に、非常勤講師の方々の講義はなかなか多彩である。映画監督、テレビプロデューサー、アナウンサー、ラジオ番組製作者、広告製作者などどれもよだれの出そうな講義ばかりである。こうした講義に出させてもらうこともあるが、講義内容は充実している。

ただ、学生諸君にはお願いしたいのは、講師の方の熱心さに応えるようにしっかりと取り組んで欲しいことだ。時々受講動機が疑われる学生もいる。しかも、数は少なくても、それが講義全体の雰囲気を決めてしまう。

講義に出させて頂く、あるいはお手伝いしていると、どうしてもそれが気になってしまう。講師にどんどん向かっていく学生が一人でも多く出てくれれば、さらに面白いことになるだろう。

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Party of the Futureは大盛況

昨日、吉野でおこなわれたParty of the Futureに参加した。

http://www.nobuki.jp/pofpof.html

参加者も多様であるが、出し物も多様である。

神戸芸術工科大学の学生は、建物の外の庭と建物内のスタジオにビデオ撮影機材を設置して、10分毎に10秒撮影して、人の動きを撮影していた。準備から開会、さまざまなイベント、そして終了の全過程を収録し、最後に2分間のダイジェスト版を参加者に見せた。カメラを意識していない参加者の動きは面白い。

初めての参加で緊張して入ってくる参加者の姿、ネームプレートに一心に書き込む様子、ひたすら食べ続けていたり、二階にいるDJが一階の参加者を盛り上げる様子を上から撮った様子など、人が集まったり、動いたりした姿を早回しするとまさに映画のようだ。

この様子は、最終的にはデザイン学会で報告するそうだが、その時には、Flashムービーとして、屋外と屋内とを同じタイムラインにして同時に見るようにするそうだ。参加者の出会いを促進するために、主催者が適切なコンテンツと仕掛けを準備したところで、参加者がどのようなコミュニケーションの交換や流通をおこなうのかを見るそうだ。

中京大学の学生は、大学のサーバに、同じくFlashで作った、宇宙に浮かぶ地球から、地球にどんどん近づいていき、最終的に吉野まで到達する。そこに、参加者が携帯電話で撮影した会場の面白い写真を送ると、CGIを使って、二分ごとに次々の送られてきた写真が浮かんで来るという仕掛けだ。リアルタイムでFlashを見せる新しい試みだ。

東京芸術大学の院生は、100枚のTシャツをすべて手書きで描いた。そこには番号を振ってあって、参加者がくじを引いて会場にあるシャツを見つけ、体にまとう。このシャツは番号順に連続的な絵になっているという、フィナーレでは、番号順に並んだ参加者を二階から撮影して全体の絵を確認した。

一品持ち寄りパーティーなので、和食、中華、エスニック料理と多種多様な料理が楽しめる。料理には作者が立てた

旗が差してあり、だれがどの料理を作ったのかがわかるようになっている。

参加者の中から、アーティストやプログラマーなどが登場し、Neo Museum Radioという企画で、DJが次々とゲストにインタビューするというラジオをまねたイベントもあった。ナムコの教育玩具製作者、お絵かきソフトプログラマー、パフォーミング・アーティスト、高校生などが登場。参加者からのエキスと取り出す試みだ。

オープニングとフィナーレは、主催者の上田信樹君の新曲披露だ。4月27日CDデビューとのこと。

http://www.nobuki.jp/release.html

ポップな感覚のノリの良い曲で参加者が飛び上がりながら楽しんだ。

いつもながら思うのだが、参加者がいいということだ。

上田信行さんが、先日、別のシンポジウムで次のように言ったそうだ。「最近は、ソーシャルネットワークシステムという招待制の人と人との出会いを楽しむツールが大流行だが、私は10年以上前からこれをやってきた。つまり、パーティーを企画することで、主催者の知りあいか、その知りあい程度に限定して、内容の濃いイベントを実践してきたのである。オンラインであっても、オフラインであっても、メンバーを限定しながら、どのようにパーティを実践するかは人間のコミュニケーションの原点である」と。

主催者親子の様々な活躍が起点となって、徐々に子供に主体が移りゆく中で、新しい将来を予感させる試みである。

私の学生もここに参加して、彼らの企画を披露したいのだが、参加者もなかった。精華大の陶芸の学生が作品を披露していたのだが、私の学生の企画を見せたいものだ。

当日撮影した写真をアップした。

http://www.kyoto-seika.ac.jp/tsutsui/friend/NeoMuseum/index.html

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自分の興味が君の研究テーマ

専門演習のゼミ生も来月三回生になる。専門演習に入ったのが、二回生後期なので、まだ半年しか経ってないと本人達は思っているだろう。でも、三回生冬になれば、もう就職活動で、ゆっくりするわけにはいかない。この一年間で研究計画を立てて、実行し、最終成果物を出すという作業をやり遂げないといけない。

そう思って、4月15日期限で研究計画書を提出するようにとアナウンスした。しかし、どうもこれは出せないのではと思い、事前の面談を強く進めた。半分弱のゼミ生が面談に来たが、すべての学生は、研究計画自体をどう書くのかわからないという反応。

そこで、文書化以前の自らの興味を掘り出す作業を個別におこなった。

自分の興味がどこにあるのか、それをどのように研究計画と結びつけていくかは、私と一緒におこなっていく。ゼミ生がいい発想をする場合もあるし、私がきっかけをつくり場合もある。いずれにしても、一人の問題関心を自ら計画へと実現することは、かなり難しいことがわかる。経験や関心が違っても、共通のテーマについてアイデアをぶつけ合うなかで、新しい発想が生まれていくことは楽しいことだ。

学生自らの計画であっても、教員がそこに触媒として加わることで、学生自身がブレインストーミングで発想を抽出する体験をしてもらうことが重要だ。そして、次はさらに飛躍していけば申し分ない。時間はかかるけど、ゼミ生との共同作業を実感する時間である。

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導入教育の発展

昨日と今日、京都大学でおこなわれた大学教育研究フォーラムに参加した。

FD関係の集会は最近乱立している一方で、NPO、e-learning、大学教育を並立させようと思っているので、どこに時間と労力を割こうかと正直難しい。それに、生来の怠け者のため、仕事だけに時間を割けない。あれこれ言いながら、京大のフォーラムは、私学に移った身としては敷居が高い。

実際に参加してみてその気持ちが払拭されたか、とはいうとそうではない。でも、いくつかのセッションの報告はおもしろかったので、それでよしとしないといけない。その中で、二日目の午後「ラウンドテーブル」では、「心理学者、導入教育への挑戦」と題した企画があった。直前に、参加者も加わった京大の溝上慎一さんの本をいただいたので、興味が湧いていた。

心理学者、大学教育への挑戦

心理学者、大学教育への挑戦

  • 作者: 溝上慎一,藤田哲也
  • 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 単行本

司会者の西垣順子(信州大学)さんは、若手でありながら、意欲的な姿勢がいい。

報告者は、久留米大の安永悟さんが、「共通演習」の実践について話された、彼は、協同学習の専門家なので、その経験と理論を元に、実践をされていた。学内教員40名を束ねた実践の大変さを知っているだけに脱帽した。それより教員数の多い高知大はもっとすごいけど、久留米大は心理学者が中心になって専門的な観点から運営しているのが時代を感じる。93年の富山大をはじめとして、90年代には専門家が中心になることは少なかっただけにいい実践である。「心理学者と日本語教師が導入教育、日本語表現法の中心になればいい」とかねがね思っていただけに、心理学者の実践例を聞いてその感を強くした。

導入教育も、心理学、日本語教育にとどまらず、他の専門分野からの視点も増えてくると思う。

それ以外には、高知大の強者の吉倉さんと、静岡大の佐藤さんに会えたのが収穫だ。

三月の研究会参加候補が増えてしまったので、調整が大変になった。

京大の田中先生と溝上さん。

お疲れ様。参加してよかったです。

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向後さんの日記が終了

向後千春さんは、認知心理学者で富山大学で言語表現科目を一緒に担当して以来、啓発される仲となった。彼と荒木晶子さんと三人で書いた「自己表現力の教室」は三万部を越えるロングセラーとなっている。

彼は、研究のかたわら、Web日記を10年間も継続し、そこでは心理学や教育工学などの文献や理論、実践などの博学であり、また実践的な実験を繰り返していた。「死ぬまでWeb日記を書く」と決めていた彼が19日に彼の日記を終了するとのこと。データも削除するそうだ。日記サイトとしては、あちこくのメディアで紹介されただけに終了のアナウンスは意外だった。

http://chiharu.g.hatena.ne.jp/kogo/

たいした理由がないとの言葉を信じておこう。彼は、きっと何かを考えているのだろう。

私にとってうれしいことは、その前日に私の「言語表現ことはじめ」が紹介されたことだ。しばらくしたらデータも削除されるのだが、彼の日記の最後に掲載されたのは思い出に残る。

彼が日記を書き続けていても、私は長く読む人であった。「彼は酒を飲まないので、日記を書く時間があるのだろう」と言い訳を考えたこともあるが、内容がそれ以上のものなのでその言い訳は的はずれだった。彼が日記を終了する前に、私も日記を書き始めたことは、彼の影響を受けたのだろう。

うれしさと悲しさが混じった感傷が漂うが、ただただ彼の今後の活躍を祈ろう。

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市民メディアと組織構造

ラジオカフェ、FMわぃわぃ、ビデオ工房AKAME代表が一同に会した。関西の市民メディアの雄が勢揃いするのはなかなかないめったにない機会だ。

今日は、NPO学会二日目。午前に私の提案したシンポジウム「市民メディアの組織構造とインフラ整備」が開かれた。パネリストは、ラジオカフェ、FMわぃわぃ、ビデオ工房AKAMEの代表で、討論者は龍谷大学の松浦さと子さん。時間がわずか1時間半しかなかったので、報告時間は一人15分間で短い。

団体の活動報告とそれぞれに作品を提示して議論した。

各団体の経営母体の特徴と活動の特徴、コンテンツ作成・発信とその人材育成、法的制度的制限の中での財政構造というテーマで報告してもらった。フロアから、東北地方のまちづくり団体において、ラジオ局を開局するので参加したというコメントに対して、日比野純一さんが、これまでのラジオ局の経験から、「悩ましい問題だけど、ラジオを真剣にするとまちづくりをやめないといけない。私は、ラジオ局を運営しているが、市民メディアを専門にやっているとは思っていない。まちづくりの道具としてラジオ局をしているのだ」と言った言葉は衝撃的だった。

ラジオに徹するよりも、まちづくりを主体にした活動として取り組んでいる姿が印象的だった。

途中、プロジェクターが故障して作品を見られなかったり、パネリストに迷惑をかけたが、内容は申し分なかった。

ただ、惜しむらくは、参加者が少なかったことだ。NPO学会参加者の関心がまちづくりや地域に傾斜しつつある一方で、情報ボランティアや市民メディア、そして国際協力活動などが関心を呼ばないことは、今のNPO関係者の課題として残るであろう。ここをどう越えるかだ。

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震災10周年と福岡大震災

本日(20日)から明日まで関西学院大学でNPO学会がある。学会創設当時に7年前から三年前までは、学会創設準備や編集委員会、オンラインジャーナルなどの仕事があり毎回参加していたが、私学に移って学外業務がしにくくなってきたため、ここ数年ご無沙汰していた。

しかし、初日の最初の分科会で司会を仰せつかったので、久しぶりに参加した。自宅を7時過ぎに出て、9時前に到着。報告者の機材の設定と時間配分について確認して始めた。NPO教育と人材育成というセッションであった。産能短大でのサービスラーニングの実践、多摩大研究所の障害者リサイクルショップの再建策、聖徳大学でのボランティア実践などそれぞれ面白かった。実践と理論を結びつけて、少しでも新しい知見を出そうという意欲が感じられる。

午後からは、阪神大震災10周年とNPO活動についてのシンポジウム。司会の岡本さん(関学)は、市民社会論が専門でありつつ、震災ボランティアの先頭に立たれた方なので迫力がある。兵庫県職員の方と、NPO団体とが一同に会して、相互の主張をしつつも、特に、NPOが行政となれ合おうとしないが、協力する姿勢が神戸のNPOの発展のしるしだと思う。

震災10周年の記念大会と同じ日に、福岡での大震災が起きた。学会でも逐次連絡しながら議事が進行していた。

被災地のみなさんにお見舞い申し上げます。

明日は、私が提案した「市民メディア」セッションだ。関西地区の市民メディア実践家と松浦さと子さんの討論に、

私が司会という組み合わせ。当日の模様は、工房AKAME関係者が録画するとのこと。実のあるシンポジウムにするように頑張ります。

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