【アクティブ・ラーニングの現場:高校編】 【立命館守山高校】

【学校のコンセプトと教員の連携がマッチしています】

遅ればせながら、9月30日に倉本龍さんのご紹介で立命館守山高校を訪問させていただきました。

琵琶湖に近い広場に高校とは思えない広々としたスペースにあります。こういう空間にいると、生徒はその場所にいて何かをしたいと思うし、また、学びへと向かいやすい雰囲気があります。

立命館守山高校は、2006年開学の男女共学の高校で、生徒数450名です。設立時の組織方針にしたがって教員を集めたのだと思いますので、教員の柔軟性があります。

授業見学前に、学内を案内していただきました。教室の椅子机を地元の木材で作ったり、ゆったりした廊下には、原爆被災地へ訪問記録も掲示してあったり立命館らしい取り組みです。校舎の真ん中のバスケットボールコートは生徒の社交の場です。2015-09-30 14.40.44

倉本さんの授業は、物理の基礎授業でした。実験室で文系も混ざったクラスで実験しながら、課題を解いていくというのは文科系の私にとっては珍しい光景でした。生徒が何かきかけをつかみたさそうにしているのが次へのステップかと思いました。

倉本さんは、高校で教えている以外に、立命館大学草津キャンパスでも教えておられるとのこと。ある授業では、高校生が大学の授業に通学するということを定期的にしているそうで、これは、系列校の強みを活かした取り組みです。

同僚の国領正博先生(****似)、犬飼龍馬先生(村上春樹似)、伊藤久泰先生ともお会いしました。国領先生は、既に公立学校でも有名なICTエキスパートだったそうで新天地での活躍です。2015-09-30 14.28.30 2015-09-30 14.28.51

事前連絡なしに教室にお邪魔しました。当日は期末試験前だったので、通常やっているアクティブ・ラーニング型授業ではなかったですが、生徒とのやりとりのなかで授業を進行させる方法でも十分に生徒の意欲を引き出しておられました。このあたりが教員としての力量ですが、なによりも生徒が先生の周りに集まってくるのが財産ですね。

午後に犬飼先生の授業にお邪魔しました。村上春樹似の犬飼先生も同じく試験前のため準備対策の授業になってしまうとのことでしたが、国語の授業の中でiPadの「ロイロノート」を使っておられました。
ラジオ番組をお持ちで授業のことはもちろん、専門の話しも収録されています。話し方に無駄がなくコメンテーター向きです。
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【アクティブ・ラーニングの現場:大学編】 【京都精華大学・情報メディア論第二週】

情報メディア論は、10月12日祝日ですが、第二週目の授業がおこなわれました。
私学では祝日も授業が当たり前になっています。

第二週の授業は、モジュール1(情報の受け取り方の特徴に気づく)
第二週自分の思い込みに気づく、でした。2015-10-12 15.12.09

見学者には、学校・大学関係者が増えてきました。高校教員4名と大学教員1名、研究員1名という非常に特徴のある週でした。

2015-10-12 14.46.02反転授業で回答が分かれた問題をグループで話し合いました。反転授業と対面授業との連携が学生にとって必然性があるようにするのが大切です。

本日のワークとしては、グループに分かれて、他のメンバーの特徴を見た目で見ながらそれと本当のところを互いに話し合いながら進めていきました。このワーク時間は20分間でしたので、じっくりと互いのことを知るために活かしていくチームが多かったです。もちろん、ちょっと深堀りがうまくいかないチームもあったので、そこは見学者と授業協力者(Creative Team; CT)が支援していました。

授業が進行するにつれて、支援が不要になるはずです。

終了後の授業振り返り会には、見学者、CT、学生有志が集まって1時間話し合いました。授業最初の時期は、授業運営についてCTさんに意見が寄せられてきます。ここをどう受けとめるかが最初の関門ですが、私の見たところ何とか越えられたと思いました。

一体CTは、教員と学生との間でどういう立ち位置を取るのかが問われています。

来週は、前期CTを務めてくれた社会人も参加してくれるようなのでちょっと楽しみです。

みなさまも是非見学にお越しいただければありがたいです。

毎週金曜日午後2時40分〜4時10分
授業後には振り返り会がありますし、事前には準備過程が見られます。2015-10-12 15.12.02 2015-10-12 15.13.34

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【アクティブ・ラーニングの現場:民間教育機関編】 【資格とキャリアスクール noa】 【学校教育と民間教育のパートナーシップ】

9月28日、友人の福田美誉さんが勤務されている学校の授業見学をさせていただきました。民間教育機関はどこでもそうですが、受講希望者以外の授業見学という制度がない中で、好意的に受け入れてくださいました。

学校は阪急梅田駅の真横のビルにあり、絶好の位置にあります。

格とキャリアスクール noa

見学させて頂いた授業は、専任教員西山貢世先生の「リーダーシップ養成2」でした。授業概要は、実際の仕事に限りなく近い状況を作り、業界に偏らない普遍的な仕事力を身につけるというものです。第三週までの試験で受講生の理解が不十分だった「情報要約力」を重点的に取り組むという第四週目でした。

2015-09-28 21.58.31受講生は、大学生もいますが、社会人も混ざった背景が異なるメンバーの集まりでした。大学や学校では学生・生徒だけになってなかなか社会人を含めるのは難しいのですが、民間教育機関だからの強みです。

長年の経験豊かな教員が担当されているので、全体への目配り、受講生の関心をそらさない授業運び、時間で区切りながらペースをつかみ、個人ワークとグループワークを組み合わせた教育方法で、完全習得学習の見本みたいに見事なものでした。

授業教材としてビジネス検定3級の問題文が出ましたが、ある社員の一日の仕事内容を記述した文章から、当日不在だった店長にどのような報告をすればいいのかを考えるという課題でした。忙しい仕事の中でいろいろトラブルが起こっていく中であたふたとした社員の姿が記述されているのはよくわかるのですが、報告文を書くという段階になると一気に難しくなります。私も読みましたがなかなか手強かったです。でも、これが実際の仕事で毎日こなしているとできるようになるのでしょう。このあたりが仕事から得られる経験なのでしょう。 続きを読む

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【アクティブ・ラーニングの現場:高校編】 【常翔学園高校】 【科目をコアにした教員の連携が特徴的です】

9月28日に訪問させていながら、報告がかなり遅れましたが、ようやくお伝えすることができます。

以前から学外での講演会などでよくお見かけしていた田代 浩和教頭のご厚意で、授業見学および教員の皆さんとの懇談をさせていただきました。

全校生1800人という大阪でも有数の大規模高校です。大阪駅からバスで30分程度という便利さが強みです。

見させて頂いた授業は、中学3年生のと高校一年生のキャリア教育授業でした。常翔学園では10年前からキャリア教育を実施しているとのことで、しかも中学三年生から高校三年生までの一貫したプログラムは全国的にも珍しいです。2015-09-28 17.03.25

プログラム紹介ムービーにも登場されている根来和弘先生が中学三年生の授業を担当されていました。

http://eduq.jp/movie/index.html#movie_box

日経新聞の『私の履歴書』から選んで、生徒がその生涯を紹介しながら、その気持ちや生涯を発表していくというものでした。
私は高校一年生の発表だろうと思っていたのですが、中学三年生とのことでかなり努力して創り上げていることに驚きました。チーム発表でしたが、どのチームも選ばれたいという思いが前面に出ていました。

昼食は、池田弘先生などと近くの寿司屋さんに行ったのですが、大阪の有名な千林商店街近くになるため、物価の安さに驚きます。エリア的に安価でおいしい地域です。

午後は、高校一年生のキャリア教育授業でした。ここでも、「教育と探求社」が提供しているクエストカップを使って、授業をしていました。
http://questcup.jp/2012/index.html

この高校は、全国大会でいつも入賞している学校であり、全国的にもキャリア教育で知名度があります。教室の黒板の上に、歴代入賞の賞状と、昨年度準グランプリのカップが何気なく机の上に置いてあるのが、入賞することが当たり前という感じがしました。

2015-09-28 14.13.37

生徒は前週は、取り上げるテーマについて、チーム毎でアイデアの発散をしていて、それを集めて模造紙に残していました。授業としては、いよいよチーム発表のアイデアを出していく段階でした。いつくかのチームは、前週の模造紙を出してきて、これまでの蓄積を元にアイデア出しをしていましたが、多くのチームはそこにいかずに、行き詰まったようでした。アイデア発散をしながらも、それを活かさないでゼロから考えると行き詰まるということは必ず起こります。教員としては、この場面でどうすればいいのかはいつも迷います。生徒自身がいずれかは気づくのですが、どこまでかれらに任せるのかが肝です。こういう場面の授業を見させていただいて感謝しています。私もまるで自分の授業であるかのように見ていました。

クラス担任と共に、このプログラムを共同で担当されている倉田真先先生は、このプログラム開始当初から担当されているだけに生き字引のように過去の経過が浮かんできます。同時に、10年間経過したことで、新しい段階への移行を模索しておられます。つまり、当初はまだキャリア教育を手がける高校は少なかったのですが、10年間で全国的に量的にも質的にも向上している中で、どういう特徴を出していけばいいのかが課題となっています。

このプログラムに関わっている教員の教科や学年は多様ですが、ここに集まる教員の方々は、新しい授業に志願して参加されています。教科に縛られた教育の限界と教科の授業では得られない生徒の成長が実感できることが教員のエートスとなっています。このあたりがアクティブ・ラーニングを導入しやすい理由です。

授業や休憩時間毎に、次々新しい教員が来られてお話しをお伺いできました。そこでは、どうすればアクティブ・ラーニングを導入すればいいのかという問いであったり、そもそも現在実践している講義型授業の課題がどこにあるのか教えてほしいという質問まで、現場感覚あふれる質問ばかりでした。ざっと数えても8名の教員とお話しすることができました。

 

どの学校でも意欲的な教育をされている場合には、決まった形があります。それは、
1.管理職の方がこうした試みに理解があること。
2.現場の複数の教員が互いに切磋琢磨しながら努力されていることです。

一人だけでは組織への広がりがないですし、現場だけでも変えることはできません。上からと下からの双方が連携するからこそイノベーションが起こります。

この高校ではその一端を見せて頂いた気がしました。こういう場面を見るとやはり勇気が出ます。ありがとうございました。

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【アクティブ・ラーニングの現場:大学編】 【京都精華大学・情報メディア論第一週】

2015-10-05 13.15.14 2015-10-05 14.58.31 2015-10-05 15.13.05 2015-10-05 15.14.23 2015-10-05 15.24.01 2015-10-05 15.29.11 後期の授業が始まりました。

今回は、岩手から来られた研究者も見学に来て頂きました。

「どこからこの授業の話を聞かれたのですか」と尋ねると、「はっきりしないのですが、同僚からこういう授業あるのだと紹介された気がします。授業動画あったので記憶に残っていました」とのこと。岩手でもこの授業のことをご存じな方がおられるようでありがたい限りです。

三名の授業協力者(Creative Team; CT)である、
荒川 隆太朗川崎 信明五島 優子さんの三名でチームを作っています。初回は、さすがに緊張が目立ちましたが、知らない人の中で学生がじっくりと対話する機会を作ってくれました。

 

反転授業のビデオと共に、これからが楽しみになります。

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【京都精華大学情報メディア論を撮影する方、グラフィックで表現する方募集!】

2013年前期には、見学者や授業協力者(Creative Team; CT)によって、授業終了後に素晴らしいプロモーション・ムービーを作って頂きました。

2015年前期には、授業内でリフレクション用に映像やマンガを描いて頂きました。

■Naoko Kato​さんNaoko Sakai​作
モジュール1

モジュール2

モジュール3
https://www.youtube.com/watch?v=WmAlapdcuwI 続きを読む

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【大学の授業を見学されませんか?】  【京都精華大学情報メディア論】

【10/5(月)から2月1日まで毎週いつでも見学可能】

10月5日(月)から始まる、京都精華大学人文学部「情報メディア論」では、学外からの授業見学者を募集します。

教育は、学外に向けてオープンにし、教員、学生、学外の方がフラットにつながるなかでこそ学びが深まります。

この授業は、アクティブ・ラーニング、反転授業、リフレクション、対話型授業評価という手法を使っています。

「情報メディア論」は、以下の特徴を持っています。

1.学外に向けて、毎週授業公開、授業見学可能

2013年前期から、大学の授業を外部に向けて毎週授業公開し、二年間でのべ535名の見学者が来られました。たとえば、本年前期は毎週10名前後の見学者、合計185名ののべ見学者が来られ、一緒になって授業を創っています。
2013年度前期「グループワーク概論」のプロモーション動画です。

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2.15週の授業を学外ボランティアと一緒に創っています

教員一人の授業よりもいい授業、教員ではできない授業を創ってもらっています。後期もただいま数名のボランティアが授業設計をおこなっています。かれらのことを授業協力者(Creative Team; CT)と呼んでいます。
*後期「情報メディア論」は、前期「グループワーク概論」と比べて、情報メディアに関する知識習得が加わりますが、それ以外は同じ構成です。

3.見学者も学生と同じ学習者として、一緒に学んでいきます。見学者は観察者ではありません。

グループワークに参加したり、個別の学生の学びの支援をおこなったり、授業準備に関わったり、授業振り返り会に参加したり、授業を創る側として関わってもらっています。

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【Learning Workshop Lab10月例会】「アクティブ・ラーニングを超えて  ~オーガニックな学びの収穫祭~」

★ゲスト
江藤由布さん(近畿大学附属高校教員、英語)
桑原恭祐さん(東京農工大学イノベーション推進機構 研究員)
◆コーディネーター:
筒井洋一(京都精華大学人文学部教員)2015-09-23 16.13.20
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10月例会の申し込みはここからです

申し込みをされないと完了しませんので、ご注意ください。

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概要:
あなたにとって、アクティブな学びとは何ですか?
なんのために、それをしますか?
学習者が主体的に学ぶ手法であるアクティブ・ラーニングと言われても、単なるグループワークやフィールドワーク体験だけに留まる形骸化したものが多いのが実態です。あるいは、研修会や勉強会へ足を運んでも、その核は、雲のように掴めず、一体何をしたらよいのかわからないのが現場の本音だと思います。
未来が求めているのは単なる手法でしょうか?
われわれが若者に伝えられるのは、知識や経験だけでしょうか?
今回は、実りある学びを生み出しアクティブ・ラーニングの先を行く実践者として一般社団法人オーガニックラーニングの共同代表2名をゲストにお招きし、「オーガニックな学びの収穫祭」を開催します。
私たちが豊かで創造的な学びに不可欠だと考えているのは、「教育事業家(Edupreneur)」という存在です。 続きを読む

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【アクティブ・ラーニングの現場:高校編】 【滋賀学園高校】【複数の教員がコラボで取り組むディベート授業】

【授業見学可能】

昨日、滋賀県の私立高校・滋賀学園高校に伺いました。
Nagatoshi Yasui校長のご活躍は以前から拝見していたので是非お伺いしたいと思いました。同じ時に教育コンサル会社の為田裕行さんも見学に来られていました。生徒の学びに徹したいという強い思いをお持ちなのでまさにタイミングが良かったです。

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最初に述べますが、授業見学や生徒の写真撮影はすべて可能です。校長の決断で、ポジティブな連鎖を生み出そうとされています。学校までの交通経路は工夫が必要ですが、それ以上の価値があります。

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授業は、高校一年生の「国際理解」の授業でした。50分授業を2コマ連続で実施し、それを三名の教員が担当するという意欲的な体制を敷いています。
テーマ自体は、今後の海外研修先を追加するとすれば、どの国がいいだろうかということでした。18名の生徒がニューヨーク、ムンバイ、韓国、ミュンヘン、シンガポールをそれぞれ推薦するチームに分かれて、互いに他のチームとディベートでロジカルに競い合う授業です。昨日は、ディベートの進め方の説明と、チーム毎の論拠の調査をおこなっていました。 続きを読む

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【アクティブ・ラーニングの現場:高校編】 【近畿大学附属高校 江藤由布さん】 【教えない授業を実践されています】

いまや近畿大学附属高校といえば、ICT教育、反転授業にとどまらず、学校運営でも知名度の非常に高い高校の中で、ひときわ特別な輝きをしている江藤さんには、「反転授業の研究グループ」で出会いました。しかし、いまやそのつながりを超えて、また、高大の境界を越えて親しくさせていただいています。その彼女の授業現場に足を運べたことにいまさらながらありがたい限りです。これまで私の知り合いで、授業見学させてください、と頼むとどなたも快く引き受けていただけることは貴重な経験です。

私が見学に来るというので、学内教員向けにも授業を公開するというアナウンスを3時間前に出したそうですが、4名の専任教員も見学に来られていました。これはすごいです。

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さて、授業は、担任をされている英語特化コース高校一年生の英語の授業でした。これまで三週間学んで来た、しかも教師が教えない授業をおこなった上で、英語の受動態について、チームに分かれて疑問を掘り起こし、それを、2分程度の動画を作って、プレゼンするという授業でした。 続きを読む

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