【アクティブ・ラーニングの現場:専門学校編】 【松下看護専門学校】

【学生が失敗からどう学ぶかを大切にしています】

副校長の水方智子先生の授業に出させて頂きました。水方先生の授業は2度目です。この学校の授業は大変興味があって、既に3度目の見学をさせていただいています。2015-10-02 13.01.08

10月2日の授業では、実際の患者さんを看護することを想定して、学内で模擬患者(教育実習生)の看護をするというものでした。約20分間、学生6名程度のチームの中から一人が看護士役になって実習をおこないました。

心筋梗塞の罹病経験のある患者なので看護士も気をつけないのですが、ベットの側に来て患者に服薬指導やマッサージをしようと思ったら、患者はトイレに行きたいと言い出し、あわてて車いすを取りに行くこととなった。患者をベットから車いすに乗せてトイレに連れて行き用を足して再度乗せて戻ってくることになった。看護士役の学生は当初想定した看護がまったくできなくてパニックになりながらも用足しを済ませたら、思わず涙が止まらない。

後半の看護士役はもっと大変だった。心筋梗塞の再発をふせぐために患者の看護をしようと思ったら、患者の容態が悪化していき、頭痛、吐き気、意識朦朧となる。自分では手に負えないとドクターを呼ぶが、来るまでの看護が問われる。完全に想定外なのでやってはいけないことや効果のない看護もしてしまう。混乱の中で時間が来た。看護士役の学生はもちろん、チームの他のメンバーもうまく対応できないことにイライラしていた。

水方先生にとっては与え今江のことかもしれないのですが、実習終了後の対応がとても素晴らしかった。想定外の事態に遭遇し、自分たちが満足に対応できていない学生は感情的になる。

学生だけのリフレクションでは、「まず自分たちの感情を思い切り発散してください。決して今後の改善策なんてすぐに考えてはいけない」というアドバイスをされた。

大学教育ではほとんど感情を扱わないし、扱うことが苦手な教員が多いことを考えると、看護経験と教育経験が豊富な方の対応でした。

授業のゴールが、看護士になってから実際の患者への最高の看護
に置いているために、教育の中で失敗体験を積ませながら、自身で考える看護を目指しておられます。2015-10-02 13.33.33

通常の学部だとゴールイメージが持ちにくいのが難点だが、それでも教育の中では失敗や不満感を克服する教育はなかなかおこなわれていない。どうしても、形だけの成功を積ませようとしてしまう。

1学年40名という小規模校だから、専門性が明確だから、実習が主体だからとかいろいろメリットはあると思いますが、われわれはそこに焦点を置くといけない。

そんなことを考えながら、われわれがおこなっている教育を振り返る意味で、この看護学校の教育はもっと評価されてしかるべきだと思います。

ありがたいことに、松下看護学校からも私の授業に見学に来て頂けるようで、いつもと違う雰囲気を味わって味わっていただけることでしょう。

ありがとうございました。

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