月刊「言語」に論文が掲載されました

月刊 言語 2008年 03月号 [雑誌]

月刊 言語 2008年 03月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 大修館書店
  • 発売日: 2008/02/14
  • メディア: 雑誌

いつもアウェイの勝負をしているのだが、言語学の専門誌に論文を書くのはかなり緊張する。「大学生のための言語表現技法」という特集テーマの巻頭論文として私の原稿が掲載されるので、広い視野で書いてほしいというオーダーを受けていた。

論文のタイトルは、『日本語表現法の意義と今後の展望』である。これまでの事例の特殊性とともに、言語表現法(日本語表現法)の共通点が継承されているという視点で書いた。以前書いた原稿では、「言葉」と「ことば」という用法の相違から説明してきた内容を、時系列的な変化の中で捉え返した。この原稿を書いたおかげで、過去の歩みが自分の中で整理された。感謝する。

論文の出だしは、以下である。

大学存続の危機が叫ばれ、大学教育自体の形骸化も指摘されることがある。しかしこうした危機の時代には、伝統的な思考や体制を突き崩そうという動きも、周縁から起こってくる。日本語表現法は、その周縁から生まれた。そこは、専門分野を超えた大学教職員や学生が出会い、異なるバックボーンを持ちながらも、共通の「ことば」を発見する場である。本稿では、日本語表現法の誕生から今日までの過程を分析して、今後の展望を明らかにする。

10年前の同じ号に、高知大学の吉倉紳一さんがお書きになった論文が、日本語表現法が全国に広がったことを実感させてくれた点で、私にとっては記憶に留めるべき雑誌であった。その十年後にこの雑誌から依頼が来たことに不思議な縁を感じさせてくれる。

同じ号には、荒木晶子さん、向後千春さん、門倉正美さんという逸材達も執筆している。いずれも日本語表現法に向けたそれぞれのアプローチで書かれた労作である。日本語表現法の最先端を知りたい場合には、是非ご購入ください。

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山城の国から伊賀の国へー浄瑠璃寺からモクモクファームー

浄瑠璃寺三重の塔と本堂を見る(2分間)

(ダウンロードするか、iTunes for mac/winで見てください。)

「休日にドライブ」

こういう言葉を忘れるほどどこにも行ってないが、週末に珍しく遠出した。京都と奈良の中間に位置する山城地方は、平城京から平安京への移行期に重要な歴史的遺跡がある。途中、有名な城陽酒造に立ち寄ったが、あいにく休業。近くのスーパーにもお酒が置いてあるとのことなので、にごり酒を買った。

さて、浄瑠璃寺だが、JR加茂駅からバスが出ているそうだが、一時間に一本なので、ハイキング客を除いては車でないと無理。そば屋の店主に週末の雪の状態を聞くと、土曜日には14センチ積もったとのこと。それが一日で溶けてしまったそうだ。映像を見てもらうとわかるが、浄瑠璃寺本堂の瓦には雪が残っている。写真好きは、もう少し残った時に来たのだろうが、私はこれで十分堪能した。本堂内部には、九体の阿弥陀仏が安置されていた。善き人から悪しき人を表す思想の体現とのこと。それにしても寒い。


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次は伊賀上野経由で、「モクモクファーム」をめざす。昨秋に京都にやってきたはっしーの友人が、ここの地ビール工場で修行したとのことで、出かけたのだった。広大な敷地にハム工場、ビール工場、パン焼き工場などがあり、また、周辺の有機野菜もかなり安く販売していた。安全と品質と大衆性を取り入れた経営手法は、食品への懸念が高まっている時代を先取りした試みだと思う。

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京都一面雪景色に、インディアンフルートがこだまする

岡野弘幹さんのフルートを聞く(3分間)

(ダウンロードするか、iTunes for mac/winで見てください。)

今年は、若者にシフトするという目標を立てたのだが、その筆頭に太田航平さんがいる。京都三条ラジオカフェの取締役であり、環境NPO「ecotone」代表であり、同志社大学大学院生であり、日本青年会議所の「人間力大賞2008」受賞者と肩書きを挙げたらきりがない若者だ。

年下の若者をまとめ、おじさん・おねえさんなどとのつきあいをしながら、自分なりのスタンスを決めていく有望な若者である。彼の祝いの宴が先日行われた。乾杯直後に、会場のカーテンが思い切り開けられた。そこには、思いがけなく京都の雪景色が広がっており、宴が一気に盛り上がった。参加者には、彼をとりまく深いつながりが一同に介したので、私も新しいつながりを見つけた。

ミュージシャンの岡野弘幹さんの演奏である。私自身は、岡野さんのことはあまりしらなかったのだが、第一音を聞いて以来、彼の虜になった。髪形や雰囲気といい、海外とのつながりを感じさせてくれる。何か引きつける魅力のある人(年上であれ、年下であれ)を前にすると、じたばたしながら、何を話しているのかわからなくなるが、とにかく相手に自分が興味があることを伝えようとする。われながらかっこ悪いのだが、そんなことはどうでもいい。近くにいたい。話したい。顔を見たいのだ。

私のジタバタぶりはともかくとして、最初の音で聴衆を魅了した演奏をお聴きください。


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ゼミがインターンシップと出会うとき(続)ー発表に対する質疑応答2

質問を見る2(4分間)

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コーディネータの谷口先生も質問された。田中優香さんの発表内容は、事情があって公開できないので、このテーマに関する動画はこれで終わりにする。増岡さんと優香さん、素晴らしい報告をありがとう。コーディネータの先生も絶賛だったね。

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終了後、お世話になったキンシ正宗さんにもゼミ生は電話でお礼を言ったそうだ。感心感心。

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ゼミがインターンシップと出会うとき(続)ー発表に対する質疑応答1

質問を見る1(6分間)

(ダウンロードするか、iTunes for mac/winで見てください。)

こういういい発表に対しては、いろいろと質問したくなる。さっそく私も質問した。

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ゼミがインターンシップと出会うとき(続)ー工繊大増岡さんの発表2

増岡さんの発表を見る2(4分間)

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今回の発表会に向けて、ゼミ生からの要望がぎりぎりになったので、スライドの内容自体は変えないままで、最後のコメントの部分でゼミ生向けの内容を追加している。

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ゼミがインターンシップと出会うとき(続)ー工繊大増岡さんの発表1

増岡さんの発表を見る1(7分間)

(ダウンロードするか、iTunes for mac/winで見てください。)

2月1日発表会の中で、承諾が取れた増岡さんの報告をアップします。YouTubeとGoogle Videoのいずれでもアップがうまくいかなかったので連絡が遅れました。それはともかくなかなか圧巻です。

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三島由紀夫が富山で蘇るー「隠し文学館  花ざかりの森」開館ー

大学卒業以来、地元の市役所に勤めて先日定年を迎え、外郭団体の富山文化事業団常務理事を務めて悠々自適の役人がいる。というと、どれだけ平々凡々の人生を送っていたのかと思うだろう。

杉田欣次さん。

でも、この人の名前は忘れられない。

役所の仕事は、それこそ走り回っていると言っていいほどがむしゃらに仕事している。しかし、終了時間になると、よほどのことがない限り定時に帰る。これは部下も同じであって、残業することにはよほどの理由がないと認めない。要は、仕事時間の中で終えるようにということである。オーバードホール館長の前には、富山市立図書館館長、市民プラザ幹部などを歴任した。

しかし、彼の特徴は、将来の演劇や映画好きが高じて、役人の一方で、前衛劇団の運営に携わり、地元NHKその他の劇団に関わって以来、富山弁の演技指導をしたり、台本を書いていた。また、小説は書き続けており、彼の関わる文芸同人誌『渤海』の編集も何十年も続けている。時代小説から、郷土小説、現代ものまでその時々の目標に沿って定期的に作品を投稿している。それ以外にも、映画鑑賞、魚釣り、骨董品収集、ジャズ鑑賞、歌手志望など、文化と名のつくジャンルにすべて足を突っ込んでいるといって過言ではない。

私が杉田さんと知り合ったのは、夕方になると大した研究もせず、繁華街に出かけて、富山の仕掛け人達と遊んでいた牧歌的な時代であった。1980年代終わり頃、「アパルトヘイト否(ノン)!国際美術展」という全国イベントが富山でも開催され、一週間で5千人の観客を集めた。

アパルトヘイト否(ノン)!国際美術展―現代美術、500日間の冒険〈1988‐1989〉

アパルトヘイト否(ノン)!国際美術展―現代美術、500日間の冒険〈1988‐1989〉

  • 作者: 高橋武智,前田礼,太田昌国,鵜飼哲
  • 出版社/メーカー: 現代企画室
  • 発売日: 1988/07
  • メディア: 大型本

私は、事務局長としてとりまとめをしていたのだが、終了後の難題をめぐって、杉田さんに相談する中で相互の信頼関係が生まれた。それ以後、時々会う程度のつきあいなのだが、信頼関係は続いている。その杉田さんの学生時代からの隠れた趣味は、三島由紀夫への憧れである。地元書店はもとより、神田古書店にもなじみの店があり、三島関連書籍をこつこつと収集していた。

昨年、別件で京都に寄った時に、「定年後にどうしても実現したかった三島由紀夫の個人文学館を開館したい」という気持ちを打ち明けてくれた。かなりの私財をつぎ込んで、自宅横に文学館を建設しているとのこと。全国の文学館団体や三島の遺族からも承認を得て、今年3月にめでたく開館の運びとなった。文学館の名前は、「隠し文学館  花ざかりの森」という。「花ざかりの森」とは、三島の処女作の題名である。個人が私財を投げ打って、文学館を建設するというのは、全国でも珍しいということで、全国団体も好意的に支援してくれたそうだ。

実は、このブログでは、以前滞在していた富山のことはあまり話題にしていない。それには理由があって、むしろそれを避けてきた。むしろ、このまま縁なく過ごすつもりでいた方が楽でいいなあと思っていた。過去を振り返るよりも、未来を創りたいから。

でも、文学館の話を聞いた時に、私は杉田さんに「50歳を過ぎたけど、私はまだ勝負したいので、過去を守るよりも、未来に挑戦したい」と言った。すると、杉田さんは、「僕も定年過ぎたけど、文学館を建てたので、今から新しい人生を歩むつもりだ。まだまだやりたいことがいっぱいある」と軽く返されてしまった。人生の先輩でありながらも、まだまだ未来を見つめる姿を見つめるうちに、「筒井さん。開館式に来てくれるか?」と尋ねられた。

正直言うと、私にはまだわだかまりがある。しかし、それとこれとはまったく別のことに思えた。私は、「行かせてもらいます」と答えた。その答えができたのは、きっと時代の経過とともに、徐々に違和感もとれてきた証拠なのだろう。

私が変わったのか。それとも、時代が変わったのか。仲間がいるからか。

確かめに行こうと思う。

ちなみに3月1日に文学館がオープンする。個人の運営なので、3月の一ヶ月だけの開館とのこと。まだ、文化事業団の勤務があるので無理はできない。定年後、徐々にペースがつかめれば、開館期間を延ばしていくとのこと。

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ゼミがインターンシップと出会うとき4-京都工芸繊維大生の発表-

田中部長のコメントを見る(4分間)

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精華大生の報告の次は、ナジックアイサポートさんのインターンシップに参加した増岡志寿香さんの報告である。テーマは、学生派遣というバイトでもなく、無償のインターンシップでもない、学生による企業への新しい関わり方を提案するものである。発表内容の動画は、本人の許可を得ていないので、公開できない。可能になればアップする。

しかし、私にとっては彼女の報告は二度目であるが、二度目の方がまたストレートになっていて、さらに磨きがかかったと思う。大変な逸材と出会ってしまった。

増岡さんに続いて報告した同じ大学の田中優香さんの報告もすごかった。彼女にとっては、インターン先であるキンシ正宗さんでの報告は、かなり緊張したようだが、そういう環境に左右されない強さを彼女は持っている。コーディネータを担当された山本先生も絶賛されたし、田中部長や谷口先生も、そして、受け入れ先だったナジックアイサポートさんからも驚きの声が上がった。田中優香さんの発表は、内容が公開できないのだが、二つ連続の絶品プレゼンを聞いたゼミ生もさぞかし心に残ったことだと思う。

その後、キンシ正宗さんが、品評会以外では絶対に飲めない大吟醸などをごちそうになった。始まる前にはあれだけ堅かった田中部長さんの顔も、ゼミ生の努力を少しは認めてくれたのか、和やかになっているので、心から安堵した。酔っぱらいおじさんそのままの姿で、ゼミ生には呆れられていたが、大量に飲んでも、まったく二日酔いにならない素晴らしいお酒に酔いしれた。ゼミ生と田中優香・増岡静香さん、そして、田中部長やコーディネータの先生方、ナジックのみなさんも本当にありがとう。

参加者の写真を見る

また、何か考えましょう。

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ゼミがインターンシップと出会うとき3-ラジオ番組の発表だ-

ラジオ番組を聞く(4分間)

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前回からの続きである。精華大生の発表の終盤に、できあがったばかりのラジオ番組のダイジェスト版が初公開された。BGMも生演奏で、出演者は三名ともゼミ生で、

台本もゼミ生が作った。すべて自前ですませてしまったと言えばそうなのだが、自前でもそれなりの番組を作り上げたゼミ生の素晴らしさに敬意を表したい。


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発表終了後に、参加者からの質疑応答がおこなわれた。後の二人の報告とはかなり毛色が違った内容である上に、番組内容の説明が中心だったので、参加者が質問が出しにくそうだった。

その中で、同志社大学の谷口先生、京都工芸繊維大学の山本健太郎先生、そしてキンシ正宗の田中部長さん、ナジックアイサポートさんからも質問を頂いた。それぞれに教務深い質問だったが、その中でも

田中部長さんの指摘が鋭かった。つまり、プロジェクトの目的やこれまでの経過など番組を形作る骨格を報告しないので、わかりにくかったというものである。


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この点については、前回書いたとおりであるが、まさに精華大生のプレゼンの弱点を突いた質問であった。返答に困る質問であったが、柏木君以外のゼミ生が自分たちなりの返答をしたのであった。田中部長さんを初めとして参加者の多くは、その説明に納得することはなかったが、それよりは自分なりの返答ができた、ということでゼミ生の場合には成果と見る必要がある。

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