今年度も新学期が始まりましたが、本務校とは別の大学で初年次演習を担当させて頂くことになった。
93年から言語表現科目(日本語表現法)を担当したが、2001年までは他の教員と同じ講義であっても、講義内容は異なっていた。いや、統一できなかったのだった。
ただ、今回の初年次演習は、できるだけ統一しようという方針なので、他の教員と講義内容方法に関する密接な協議をおこなっている。これまである意味では、自分の思い通りに授業を進めていたので、今回のように統一した授業方式は新鮮である。それに、KJ方などのブレインストーミングを駆使するのも魅力的だ。選択科目ではなく、必修科目として必要な経験である。
新入生は、この授業に限らず、他の授業が始まりだしたが、それ以前に新入生が受講する多様な授業を担当教員が説明するガイダンスがおこなわれる。かつての本務校では、教養科目の種類が二十種類程度あったが、90分間の中で5分程度の説明を延々と繰り返していた。聞いている新入生にとってはめまぐるしく変わる科目の説明を聞いても食傷気味だと思う。
そこで、私は、言語表現科目の説明をできるだけ言葉は少なくして、われわれが作成したビデオ作品を上映した。前年度に履修した二年生が中心になってビデオ撮影と編集を行った。ストーリーは歓談である。あるスナックで、別れ話を切り出す女性が、男性が何も言えないだらしなさを責めていた。予期に反して、その男性が突然立ち上がって、一世一代の愛の告白をするのだった。その言葉の迫力にすっかり魅了された女性は、男性を惚れなおし、めでたしめでたし、というハッピーエンドとなる。スナックのマスターが「言語表現のおかげやで」と一言言って終わるというものだ。
思いついてすぐにはじめたが、全員撮影の初心者のため昼過ぎからはじめた撮影が夜になってしまった。そのため、初めは明るいスナックが途中から暗くなるという基本的なミスをしている。しかも、外部マイクを使ってないので、撮影場所の喫茶店の雑音が気になったので、アフレコを頼むことになった。しかし、映像と音声があわあいという作品である。
ただ、この作品が一つ誇れるとすれば、ビデオの前説と後説は、NHKの現役アナウンサーにボランティアで協力してもらった。彼は、この科目を一緒に作ってきたので頼みやすかったのだ。しかし、さすがプロだけあって、見事な説明である。
この作品を持って、科目ガイダンスに臨んだ。1時間以上聞きっぱなしで疲れが目立っている受講生だが、言語表現科目のビデオが始まったときには、急に乗り出してきた。たわいもない作品だが、物珍しさが手伝って、学生は楽しんでいた。
話が変わって、来週は、1年次の必修科目で教員自己紹介が行われる。15名程度の教員が順番に話すと一人当たり、5分間程度になる。他の教員は、口頭説明ばかりだろうと思うので、私は、少し変わった趣向で行こうと思う。
講義コンテンツだけでなく、講義方法や教材などの工夫が必要だと思う。
さあ、来週を楽しみに。