Robot(http://www.robot.co.jp/index.php)の井上邦彦さんが、講義の中で、自作CMを紹介してくれた。
当時、キリンビールがアサヒビールに首位を初めて奪われており、低落を止めたいという強い希望を託されてて井上さんが作ったCMがそれである。
全シリーズを連続して見ることができた。
TOKIO、広末涼子、いかりや長介、高田・坂口・八嶋の三人組などで趣向を変えて行きながら、ビールを広い世代に浸透させようというアピールだった。
当時、本当に流行ったコピーだった。安飲み屋に行ったら、学生グループが酔った勢いで、「乾杯、Lager、乾杯、Lager」と唱和することに必ず出くわした。飲んでいるビールがキリンに限らず、その他のビールでもかけ声は同じだった。
井上さんの話を聞いていて、音楽に詳しい学生が質問したが、それが面白かった。彼は、ドリフターズがコミックバンドであった前には有名な音楽バンドあったことを知らなかった。最近でこそ高木ブーがウクレレで有名になっているけど、彼らが66年にビートルズ来日記念コンサートの前座を務めたことは知るよしもない。もっとも、一度しか放映されなかったそのコンサート番組を私も見ていないので偉そうなことは言えないのだが。
かといって、もはやメンバーが楽器を手にすることもまれになっているのだろう。いかりやさんは、かなり入念に練習をし、また撮影中でも周りはOKを出しても本人が納得しないということで延々収録を繰り返したとのこと。
かつての絶頂を思い出しつつ、それには追いつけないまでも、それに近い演奏をすることで、自らを取り戻そうとしていたのだろう。既に故人となられた方であるが、最後まで努力された話を聞いて、彼の気持ちがキリンビールの低落を止めたのだと思った。