バーには探偵映画が似合う

怪しげなバーだった。

昨日、ゲストを連れて食事したついでに、噂を聞いていた店に立ち寄った。

元は、純喫茶「三茶」というかなり古めの喫茶店だった場所に、映画監督がバーを開いたとのこと。私が行ったのは開店二日目だった。といっても、開店当初の緊張感もなく、何十年も営業しているような雰囲気がする。壁には「探偵十ヶ条」という掲示があったり、古めかしく怪しい雰囲気をわざと醸し出していた。

飲み物を注文しようと思い、「材料は秘密」と書いてあった「探偵カクテル」を頼んだ。赤色の怪しげなロングドリンクで、飲むと炭酸に混じって少し鉄分の味がする。赤色で鉄分の味と言えば、。。。

店の奥の壁に本棚があったが、なんか不自然な感じがするので、店員さんに「あそこは秘密の扉でしょう?」と尋ねると、「開け方が分かれば、中の部屋に入れます」とのこと。いろいろ考えて、なんとか正解を見つけられたので、やっと秘密の部屋に入れた。そこは船室を模していた。船窓の前に、場末の映画館にあるような椅子が一列に並んでいて、

もう一方には小さなスクリーンがある。聞いてみれば、

「監督だけでなく、女優さんも来られて、試写会をするんですよ」

とのこと。

確かにチャイナドレスか、ロングスカートを着たアジアっぽい顔立ちの女優が来れば、犯罪のにおいがする雰囲気がする。机には黒電話があったので、そこからやばい取引でもするんだろう、と思わせる。

きっとカクテルには何か異物でも入っていたのだろう。今日はすっかり体調を崩してしまい、夕方から早寝をしてしまった。この周辺は、今、少し物語のある店や事務所が集まってきている場所だ。また、体調を壊すかもしれないが、ゲストもすっかり気に入ったし、何かが始まりそうな気がするので、行ってしまいそうだ。

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