先月の話だが、たまたま出会った学生が自己紹介する中でバイトについて語っていた。そこには大手ファーストフードチェーン店のバイト教育の極致がある。
時給は780円なんですけど、とてもやりがいがあるバイトをしています。高校時代から五年間務めていますが、辞めたいとは思いません。もっとも社員になると大変そうだから就職するつもりはないです。でも、ある知り合いはある店に長年勤めていた後、引っ越ししたらまた近くの店で働きました。店が変わっても、すぐにでも働けるようになっているので、一度バイトを経験したら、困らないようになっているのです。。。。
最初は、簡単な自己紹介だけのつもりなのだが、チェーン店の人事政策の秘密について私は矢継ぎ早に質問してしまった。多くの質問は、給料が安いのにどうして働きがいがあるのか、という点に集約される。
彼女はいろいろ説明してくれたが、要するに、バイトが提案した企画を社員は一生懸命実現しようと努力するし、働くにつれてやる気を引き出す工夫がされており、それにしたがってより責任のある仕事を任せようとしているのである。さらに、バイトの一人が業務全体を見渡して、業務の効率化や改善方法を提案する担当者にもなるとのこと。
システムは肥大化すると、ますます人間的な要素をなおざりにしがちである。その中でも、大組織でありながらも働きがいがあるということは仕事の原点であって、それを最低賃金に近いバイト料で実現可能にしているのだから、チェーン店恐るべしである。今度じっくり話を聞いてみようと思う。