今日は、大学コンソーシアムの仕事である大学に調査のためのヒヤリングに行ってきた。ヒヤリング調査自体は面白かったが、その大学に行った折には必ずおじゃまする研究室がある。地球科学や文明論を研究しておられる原田さんである。大学教育の改善に向けて獅子奮迅の活躍をされているだけでなく、専門研究と同僚教員とを結びつけるアイデアをいつも持っておられる。
その話の中で、面白いことを聞いた。人間文明を他の生命体にどう伝えるのかという方法として、宇宙博物館という構想を出している研究者がいるとのこと。その構想とは、人間のあらゆる活動を記録したデータ(音声、文字、写真、動画など)を光に変換して、それを宇宙に対して発信し続けるというものである。
いくら情報を発信することができたとしても、他の生命体がそれを理解できるとは限らないのではという疑問が沸くが、原田さんによると、人間の発信する情報は、他の生命体からするとそれはまったく異なるアルゴリズムにもとづく情報なので、暗号と同じである。ただし、暗号というのは、解読されなかったことは一度もない。いつかは解読される運命にある。
ということで、他の生命体も人間から発信された暗号を解読するであろう。それがはるか彼方の生命体が何万光年先であっても解読されるように、光に変換して発信するプロジェクトを続けることで人間の文明が継承されるのである、とのこと。
原田さん自身も同じような構想を持っているが、その場合にはアナログ情報だけであって、デジタル情報は発信できない。彼は、アナログ情報の重要性を説くことで、人間の現実生活の振り返りをしようとしている。
いずれの構想もスパンが長く、また視野が広い。これらが実現するかどうかはわからない。しかし、一見すると突拍子もないアイデアを聞きながら、日々の教育や研究を見つめる機会は、多忙な中でも貴重な時間である。