土曜日から本日まで熊本で研究合宿です。阿蘇山内のペンションでみっちりの会合だった。
この研究は、四カ年間で、「参加体験型ワークショップをe-learningで可能にするための統合的研究」をおこなう。ただ、研究代表者から送られて来たスケジュールには、二日間の三つの研究ユニットは、
- エピソードIV「eラーニングのパワー:新たなる希望」(2時間)
- エピソードV「eラーニングの暗黒面:帝国の逆襲」(2時間)
- エピソードVI「eラーニングの未来:ジェダイの帰還」(2時間)
とある。
Star Warsとe-learingとがどう関係づるのかと不安に思いながら参加した。私以外はすべて教育心理学や教育工学の専門家であり、私がどのように噛み合うのかが重要になる。通常の研究会だと、あらかじめメンバーが自分の報告原稿を用意してそれをもとに質疑応答をするが、今回はまったく違う。
自己紹介を兼ねながら、自分の問題意識を述べていき、それに対して自由に質疑応答していく。報告原稿に対する質問であれば、あらかじめ質問が想定できるが、この場合には、どういう質問が来るのかがわからない。二日目のセッションは、博士論文作成の最終段階に入っているメンバーがホワイトボードを使いながら説明していく。それに対して他の参加者が自由に質疑を繰り返していく。論文としての完成度をどのように高めるかと同時に、博士論文として受理されるためにどのような学術的な手法が必要かを次々にアドバイスしていく。
教育工学の場合、仮説を設定して、それを証明するための実験を設定するために、実験そのものが追試可能であり、その実験結果が有意な結果を示す必要がある。私自身、はじめて教育工学の博士論文をテーマにした議論に参加したのであるが、章立てとそのつながりと、各章ごとの実験が設定されているために、実験のプロセスが理解できると比較的参加しやすいので胸をなで下ろした。むしろ、門外漢であるために、積極的に質問をさせてもらうことで他のメンバーのレベルに追いつこうとしたために、他の参加者が話す言葉がすべて面白い。
他分野との共同作業は、緊張感があって楽しい。と、同時に自分を試されている事がよくわかる。そのうち私の研究を遡上に乗せて同様のことがおこなわれるのであろう。
私自身、研究会への参加はよく体験しているが、以前軽井沢でおこなわれたNPO学会でのセミナー以外はあまりない(そこでi-Mode企画者であった松永 真理にも会っている)。ひたすら自分が報告したり、他人の報告を聞いていることの繰り返しであり、夜は宴会というのが通例であった。その意味で、遊びのない研究会を繰り返していたと思う。しかし、今回の場合は、自己紹介と研究テーマとの一体となり、しかも合間にリラックスタイムを入れながらブレインストーミングをしていくという新しい方式は新鮮だった。
もっとも参加メンバーのすべてが教育工学の最先端で活躍している方ばかりなので最終的な成果物のレベルが問われる事はむしろ厳しいかもしれない。「頭を緩くして」、「先端的な成果を出す」のが、研究代表者の意図なのであろう。