大学で学ぶことが楽しいーAO入試で合格した学生が学びを発見した

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 人前で話すのは経験がないと緊張して話せない。ましてや30名の専門家を前にして大学生が自分の意見を話すなんてことはよけに難しい。

彼はこれまでこうした「大人」を前に話した経験がなく、ましてや彼は高校時代まで文章を書くのが好きじゃなかったのだが、当日にはきっちりした報告レジュメも書いてきたのだった。名前はあえて書かないが、彼は現在精華大学人文学部社会メディア学科二回生である。

彼は、一年生前期に私の基礎演習のゼミ生だった。20名弱のゼミだったので、お互いの顔や表情がはっきりわかる小集団である。大講義室の講義では、学生の私語や居眠りが気になることはあるが、それ以前までのゼミではそうしたことはなかった。しかし、彼の年度から、私語をする学生や居眠りする学生、途中で教室から出て行く学生が出始めた。実は、彼はまさにそうした学生だった。大講義でも仲間と一緒に話しているか、講義を抜け出して外でたばこを吸っているかしていたのだった。

ところが、彼の学生生活は、一年生後期から突然変わった。

授業にも身が入らず、スポーツや仲間と遊ぶだけの無駄な学生生活を過ごしているのを見かねて、何名かの教員が彼をかなり厳しくしかった。実は、彼は覚えているかどうかはわからないが、私も厳しくしかった一人だった。「このままでは大学に来ている意味がない。こんなにしかられてくやしいならば見返してみろ!」と言ったと思うが、それに対して、彼は、「そんなに言うならば、先生を見返してやる。」と答えたのだった。

一年生後期の大講義でこれまで仲間としゃべっていたのだが、仲間と少し離れて講義を聞いてみたら、意外に面白いと思った。これまでわからなかった話もじっくりと聞くと、少しずつわかるようになってきた。やがて彼は学びの面白さに気づき、自らテーマ(現在の憲法改正問題の動向について)を設定して、半年間の調査活動を目指している。

学びの場としての大学の意味を確認しているのであった。

彼の報告レジュメは以下にあるが、誰も相談せず書いたにしては、立派なレジュメだと思う。彼の努力に敬服すると共に、自ら学びだすことの力強さを痛感した次第だ。

http://www.kyoto-seika.ac.jp/tsutsui/podcast/edu1/rui.pdf

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