夕食に洛北山中にある美山町の納豆が食べたくなった。そこで、車で買いに行くことにした。
納豆に関してはそれぞれの自慢があるのだが、ここの納豆は、ワラ包みはもちろんながら、粒が非常に大きく、歯ごたえがあるので、「畑の牛肉」という食感だ。
実は、京都生まれながら、美山町には滅多にこない。
芸術家が住んでいたり、農協の野菜売り場が最近人気であることは知っていたし、数年前の「行く年来る年」では、美山の茅葺き農家の撮影がおこなわれていた。
ただ、北陸が長かったので、富山や岐阜の茅葺き集落が一番すごいと思っていた。
しかし、美山の茅葺き農家は、それらをはるかに凌いでいた。農家の件数(20件程度)といい、眺めの良さといい、広々とした斜面に密集して並んでいたのは驚いた。京都市内から、40分足らずでこれだけたくさん残存しているのは驚くべき事だ。
解説を読むと、既に江戸時代から続いていて、若狭湾から運ばれる米や魚介類の通り道(塩鯖街道)として繁栄していたとのこと。
二十年前ならともかく、最近は道路も整備され、車の往来も多く、都市近郊からの観光客も多数見学に来ている。運良く茅の葺き替えをおこなっていた農家が二件あったが、職人はいずれも30〜40代の若い人が中心であった。行政からの補助金が前提になったいるだろうけれども、若い職人も健在で、技術の伝承もおこなわれているようだ。
納豆は、もう少し発酵が必要だが、現地に出かけただけの満足感はあった。