困った時には、全体を見渡そう

「これだ」と衝撃を受けたときには、その衝撃と自分が一体化し、自分もそれに同質化したいと思う。

逆に、これは嫌だと思った時には、それと自分とを完全に分離し、自分はそれとまったく異質だと思う。

どちらも必要な反応であって、振幅の揺れの中にわれわれがいる。

ある講義に、Nakata.netのプロデューサーが来られた。

ベッカムやリアル・マドリードのプロデュースも手がけている。社員わずか数名で何億の売り上げだが、それはここでは関係ない。

注目すべきは、次の写真だ。

これは、中田のサッカー動作を三次元のベクトルデータにしようと、体中にカメラをつけて動いているところだ。彼は、視野が広いのが特徴だと言われる。試合中、彼は、頻繁に顔をあちこちに動かして全体を見ようとしている。このシーンをテレビはあまり映さないが、これが彼の強さの秘密だ。

写真の中で、顔中にカメラをつけているのは、まさにそれを象徴しているかのようなだ。

すごいことがあったら、

  1. まず自分の体と心で対話しよう。
  2. それから、自分や他の人を遠くから見てみよう。

自分との一体感を感じた後に、異質感、つまり、冷静な感情で対象を俯瞰(ふかん)することで、はじめて自分と対象との関係が深まる。

講義を受けながら、われわれに欠けていることを痛感した。

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