日本語教育とメディアリテラシー

横浜国立大学の門倉正美さんから送られてきた科研報告書「日本留学試験とアカデミック・ジャパニーズ」と論文を読んだ。

従来の日本語教育は、日本語自体を学ばせる、あるいは日本のことを学ばせるというものであった。しかし、近年、アカデミック・ジャパニーズという流れは、留学生と日本人学生との区別をするのではなく、「大学の学習と生活に必要な日本語」を教えようと変わってきている。こうした流れだと、日本語力や文化的な背景の相違はあっても、現代社会の普遍的な特徴を扱うことになり、双方で同じ視点に立った教育をおこなうことになる。

門倉さんの科研研究グループから、昨年報告を依頼されて報告をしたが、その時に私は留学生と日本人学生の教育は、日本語教師にとっては同じ視点で教育が可能であると主張した。こうした主張が門倉さんのグループと共通点があったのだろう。

このことは私にとってもうれしかった。93年当時から主張していたが、ほとんど顧みられなかったからだ。共通の土俵が広がっていることを痛感した。

しかも、門倉さんの優れているのが、日本語教育の視点からメディアリテラシーに取り組んでおられることだ。留学生向けでの講義ではなかなか勇気のいることであるが、見事に成果を上げておられるのがわかる。門倉さんが、日本語教育と国語教育とをメディアリテラシーという媒介項でつないでおられるのを見て私も考えた。

私の専門である大学教育とe-learningとをつなぐ媒介項が見つからずに四苦八苦していたが、もしかしたらメディアリテラシーによってつながるかもしれないと思ったからである。もちろん、私の場合には、マスメディアに対する批判的な視野よりも、市民メディアでの情報発信の仕掛けをつくことに重点がある点が異なる。しかし、それでも何らかのつながりができないかと考えている。

こうした思いつきが生まれたことで、門倉さんの業績には感謝しないといけない。

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