今日は一日イベントの裏方だった。自宅から少し離れたキリスト教会で知りあいがSilver Laceの個展を開いたので、私もそのヘルプで参加した。
銀細工の銀色、下敷きの黒色、和紙の白色が貴重になった優雅な展覧会であった。小さい頃から、夜店や駄菓子屋に目がない質(たち)なので、こういう手伝いは好きだ。自分自身を売り込むことは苦手にしても、知りあいの作品や推薦するのは力が入ってしまう。以下が作品の一部だ。
個展が教会でおこなわれるのはあまりない。実は、作家は、この教会に併設されている幼稚園の出身者であるため、自分の原点を確かめるためにここをお借りしているのだという。自分が通っていた当時にままのいすや机があり、伝統を感じさせる。
この建物は、築70年の木造である。日常生活にはまったく支障がないのだが、現在の耐震基準に合わないので、立て替えを迫られている。その意味ではこの建物での最後の個展となる。1934年(昭和9年)施工と言えば、キリスト教会にとっても、第二次大戦はるか前のことなのでまだ穏やかな時だっただろう。
建物自体は、贅沢な作りではないが、天井の両端が傾斜になっていたり、窓が縦に長くて採光がよかったり、木材もしっかりした材質が使われていたり、と豪華なものだ。
立て替えを決意したとしても、教会や幼稚園関係者にとっては、このままを保存したいという気持ちは持ち続けているだろう。個展が終わって片づけに入っている時に、作者が牧師さんに教会の小さな椅子をいただけないかと頼んでいた。子供用の本当に小さな椅子であるが、作家が通っていた頃から既にあったそうだ。廃棄処分予定の椅子を作家が運良く手に入れることができたのは、お金に返られない頂き物をしたと思う。
しかし、作家に渡せば、この何気ない椅子が別の命を吹き込まれてよみがえるのだろう。このあたりが創作者の強みだ。私は、作家の営みを記録することで自分の役目を果たそう。