私の専門は、元は、国際関係論とドイツ現代史なのだが、現在ではNPO研究、e-learning、大学教育となっている。しかし、元来の専門での論文も書くことも時々ある。
2003年に出版した以下の専門書の第二節に、「ドイツ統一の教訓と朝鮮半島情勢の課題」という論文を書いた。ただ、単にドイツ現代史を扱うのではなく、朝鮮半島との比較検討で、統一問題をテーマに書いた。東アジア研究は、多言語であり、多数の資料があるので、なかなか大変だった。でも、統一問題において、これまで不思議にドイツと朝鮮との比較研究がされていないことに対して問題提起する必要があった。
本日届いた日本政治学会学会誌『年報政治学2004』の最後には、前年に執筆された研究論文に関する文献解題が掲載されている。研究者はそこから新しい研究動向を知る点で重要なリソースとなっている。そこに拙稿も掲載され、お褒めを頂いた。評者は、著者の意図をはずすことなく読んでくれて、正統は評価をしてくれた。感謝する次第である。以下の通り。
朝鮮半島における統一ないしは南北和解の可能性をドイツ統一過程を参照しつつ取り上げている。冷戦の終結と並行して進展したいわゆる「ドイツ問題」ー周辺国家の抱く対ドイツ不信ーの解消などを軸とするドイツ統一と、冷戦以後という新しい国際環境を背景とする朝鮮半島の情勢を比較し、単純な結論に走ることを自戒している。分断が半世紀を越えて持続され続けたことを考慮すると、南北統一の統一は果たして「統一」の問題なのか、それとも全く新しい国民国家の構築なのか、という重要な問題提起となろう。(文責 梅垣理郎)
誉められることでまた次の意欲が沸いてくる。