夕方に少し寝て、一息ついた。人生の重みとその継承の時。
半月前に、家族旅行したが、家族旅行は、実に15年ぶりくらい。その間のそれぞれの歩みをかみしめた。どこに行こうかと相談したら、中部地方に決まり。それぞれに思い出につながる富山・五箇山の合掌造り民宿「勇助」に泊まった。オーナーは、ここが生まれ故郷で、富山で出会った写真家の池端滋さんだ。
池端さんは、8月12日のブログにも書いたように、私の30〜40年代においては重要な人である。この民家出身でありながら、銀座の写真館などで修行した後、富山に戻って写真展を開いていた。仕事のかたわら、美術展、自主上映会、講演会などでいつも先頭を切って、過激に、また誠実にリードしていたのだった。新聞記事を書く頃から、無性に会いたくなって、五箇山のご実家に初めて行ったのだった。この民宿は、この集落の中でも有名で、秋篠宮や小泉元首相が宿泊したニュースを京都にいてもたびたびテレビで見ていたのだった。
到着してすぐに囲炉裏端での夕食で始まった。実に豪華な夕食だ。元々池端さんは、料理が得意なので、奥さんと二人で工夫して作っている。ずいき、豆腐、ウド、鯉の洗いなどが鮮度と技、そして心意気のごちそうだ。
二階は、元は蚕を飼っていた場所で、学生の合宿の時には、三十人くらいが楽に泊まれる広さだ。
われわれが泊まった日は、たまたま他に客がなく、大きな民家と池端さんを独占して過ごした。射水さん、イベント、五箇山の昔、池端さんの若かりし頃など話しは尽きない。その時に、家族写真の話題になり、翌日、撮影をしてもらうことになった。先日、その時の写真ができあがった。考えれば、これまで一度も家族写真を撮ったことがないので貴重な思い出となった。二日酔いの顔しているが、民家の一階での一こま。
写真到着後、さっそくお礼の電話をしたら、ただ今、島根県で撮影しているとのこと。旅行前日には、子供のようにうれしくなって、午前2時に出発して、一気に広島まで来たとのこと。いつまでも好奇心とやんちゃな心を持っている姿がすがすがしい。勇助の檜の風呂でご本人がモデルとなっている。
白川郷のように、かなり俗化した合掌集落ではなく、いにしえの雰囲気がそのまま残ったまま、生き生きと生活している姿が体験できる。早朝には庄川で冷やされた冷気がもやとなって漂っている姿を見ていると、ここは天上かと思う。
世界からやってくるこの牧歌的な合掌造り民宿には是非行ってほしい。