山形のおでん屋さんで出会った梁英姫監督から、11月に京都で上映会があるという話を聞いていたので、出かけていった。映画愛好家団体主催の月例会で映画「ディア・ピョンヤン」が上映されていたのだった。監督と会った時には、話題になっていたこの映画を見ていなかったので、是非みたいと思っていた。
上映後の監督のトークでも紹介されていたが、映画のタイトルがいかにも北朝鮮賛美ととられかねないため、助成金申請のために団体事務局に電話すると必ずいぶかられるとのこと。でも、両親が長く朝鮮統一運動に関わっていたことから、彼女の兄達を北朝鮮に送ったことで、親族もいることから、彼女にとっては、このタイトルは家族として当たり前のことであった。
もちろん、映画の趣旨自体は、北朝鮮とは明確に政治的スタンスを異にしている。しかし、この映画では、そのテーマを正面から扱っていない。むしろ家族、特に時代錯誤的な父親の生き方との葛藤を通じて、どこにでもある家族の問題としてこの映画を撮っている点が、在日や民族問題を超えた普遍性を持つのである。
上映後にも、約30分間監督のトークがあったが、メモも見ずに、またあいまいな態度をとることもなく、どういう質問に対しても、明確な話をする姿勢は観客の共感を得た。映画だけでなく、テレビの仕事を含めた経験のなせる技だと思う。もっとも、私は、政治問題や北朝鮮の実情に対する質問ばかりなので、あえて映画人としての今後の抱負について質問させてもらった。やはり表現活動として作品や監督を評価するのが筋だと思うからだ。
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- 発売日: 2007/07/08
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