古居みずえ監督作品 「ガーダ-パレスチナの詩-」上映会開催

ガーダ―女たちのパレスチナ

ガーダ―女たちのパレスチナ

  • 作者: 古居みずえ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 単行本

アジアプレス所属のフリージャーナリストの古居みずえさんの第一回監督作品が、明日、精華大学で上映される。6月にロードショウ上映された映画であるが、京都では初の公開であり、監督のトークもある。

アジアプレス・古居みずえ第一回監督作品「ガーダ -パレスチナの詩-」上映と古居監督・作品を語る

日時: 6月26日(月) 午後6時〜午後9時

場所: 京都精華大学 黎明館201号教室

    http://www.kyoto-seika.ac.jp/access/index.html

内容:

「ガーダ -パレスチナの詩-」(上映時間106分)

 上映後、古居監督のトーク & 質疑応答(約60分)

入場無料

当日、岩波書店から出版された古居さんの本が二割引で販売されます。

この映画は、1988年7月、ひとりの女性ジャーナリスト(古居みずえ・当時40歳)が戦火のパレスチナで取材をはじめたことから生まれた。その通訳として紹介されたのがガーダであった。パレスティナ難民キャンプで育ったガーダは、パレスティナをこよなく愛しながらも、親が決める結婚や結婚式に抵抗していた。その一方で、パレスティナ人にとっては敵であるユダヤ人のヘブライ語を学びにイスラエルの語学学校にも通った。ユダヤ人への違和感とともに、人間としてのつながりも持つようになる。

そうした中で、親戚の若者がイスラエル兵に銃殺されたことから、パレスティナ女性の歴史を本にしようと思い立つ。それも抵抗の一つだと。それ以来、パレスチナの古老たちから、1948年のイスラエルの建国によって故郷を奪われたパレスチナ人の体験と暮らしについて、聞き書きを続けている。映画の後半にはその姿が映し出される。それはオリーブとオレンジに囲まれた豊かなパレスティナの大地を再確認する旅でもある。

封建的な男性社会であるパレスチナでは、女性たちの声が聞え難い。男性のジャーナリストでは撮影する事が不可能な、女性達の儀式や会話など貴重な映像が盛り込まれている。そんな社会のあり方と闘い、奪われた暮らしを再生させようとしているガーダにとって、多くの困難を乗り越えてきた古居の存在は大きい。


古居さんが所属するアジアプレスと精華大学とは、かなり密接なつながりがある。私自身は、三年前に、彼らが非常勤講師として大学で講義する中で親しく接することができた。代表の野中章弘さんを初め、大阪事務所代表の石丸次郎さん、玉本英子さん、坂本卓さん、東京事務所の刀川和也さんなど多くの方と接点ができた。

アジアプレスとのつながりは、私がコーディネートして来たワークショップ系実技授業の一環としても興味深い。アジアプレスの授業との関係を報告したものではないが、その流れは先日の大学教育学会でも報告した。要は、大学と社会とのつながり、大学内での非常勤講師の授業の生かし方を提言したものである。その点から行くと、アジアプレス関係者は、学生を学外とのつながりに結びつけようと努力してくれるし、その成果も生まれている。昨7月には、精華大内で「アジアプレス映画祭」を一週間企画できたのであり、野中さんから映画『ガーダ』の上映依頼が来た事はありがたい。

もちろん、アジアプレスと精華大とのつながりは密接であったとしても、映画という著作権に関わる作品上映には、配給会社と上映館の意向も重要になる。実は、当初、この映画上映は5月初めに予定されていたが、結果的にはうまくいかなかった。誰もが善意でありながらも、最後に息を合わせる事ができなかったのは調整役の私の能力不足を痛感している。その意味で、ようやく上映に漕ぎ着けた事は感慨深い。

フリージャーナリストは、マスメディアに籍を置かないことで自らの心情と現地の人々とのつながりをストレートに表現できるメリットがあるが、同時にその作品をどのように上映するかという点で四苦八苦している。マスメディアの閉塞状況が深まる中で、彼らの作品が上映できる余地が狭まっている。

さらに、独立系映画館での上映機会も増加しているわけではないし、ネットでの公開も採算面で難しそうだ。そこで、テレビでの放映や映画館での上映ということとは別に、独自の上映ルートを確保する事が必須である。それがどういうモデルであるのかは不明であるが、外部とのつながりの中で、「運動として」の上映モデルは欠かせないと思う。それを考えながら、今回の上映をおこなっているのである。

多くの方が上映&トークイベントに参加してほしい。

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