ボブ・ディラン:家に帰りたい

研究会終了直後に、以前から予約していた『ボブ・ディラン:No Direction Home』http://www.nhk.or.jp/dylan/を「みなみ会館」で見てきました。上映期間が一週間だけで、3時間半の大作だが、精華大名誉教授の片桐ユズルさんがボブ・ディランの訳詞で有名だったので、よけいに行きたかった。

映画自体は、寡黙なボブが長時間のインタビューを受けたことと、未公開の映像と音楽がふんだんに盛り込んであったので、マニアにはこたえられない映画だ。ボブが若者文化の代表に祭り上げられて、音楽以外での政治的役割を求められるところから、だんだんと社会と彼との距離が明らかになってくる。ジョーン・バエズ、アレン・ギンズバーグ、ピート・シーガーなどの当時有名だった歌手や詩人がインタビューに答えているのがなつかしい。

 

記者会見でのメディアからのくだらない質問にいらいらしているボブは、コンサートで発散しているように元気だ。でも、エレキギターを持ってからの観客からの批判は、当時の時代を象徴している。時代の寵児が批判の対象となったのだった。時代が転換していることに対して、ボブなりの姿勢を表わしたのだが、その姿勢が音楽にとどまるのであればそれで許されたが、そうならなかったことがまさに時代の産物である。

この映画の最初と最後に、アップルコンピュータのロゴが出てきたのは驚いた。そう言えば、ボブはiTunesを最初に体験したミュージシャンであったように、CEOとの個人的信頼関係からこの映画ができているのだろう。日本版は、NHKがハイビジョンで制作しているそうで、それを映画館で上映するというのも不思議な感じだが、放送と映画の境目がなくなってきたのかもしれない。

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