大学教育学会には、数年前からラウンドテーブルという企画が復活しました。復活したのは、たしか宮城大学での大会でしたが、私がこの責任者をしていたので思いで深い企画です。ラウンドテーブルとは、会員が自由にテーマや報告者を設定して申し込み、大会側は場所と内容のアナウンスだけしてあとは、企画者に任せるという趣旨です。大会主催者や学会理事会が決定した大会企画だけでは会員に不満が積もるということではじまったものです。
私がこれにはじめて参加したのは、たしか1996年だと思います。当時の責任者は、武蔵大学の林義樹さん(現横浜国立大学)でした。彼は、草の根からの発想を大切にする方で、この企画を成功させるために、積極的に呼びかけをおこなっていました。私も彼にお誘いを受けました。そこで、他の研究者と親しくなり(壇上で隣り合わせになった方を小声で話していたら、フロアの方にも聞こえて、先人におしかりをいただいた)、それ以来さらに全国的な広がりへとつながりました。
もっとも、ラウンドテーブルも、一回だけで終わってしまった。それが数年前の宮城大会で復活したのだった。当時の企画は、たぶんに思いつき的なものもあったので、参加者の満足度も千差万別だったと思う。しかし、昨年からの企画はどれも一流の企画が目白押しになった。理事やその他知名度の高い研究者がきっちりした企画を持ち込んできているからだ。私が昨年企画したテーブルも100名ちかくの参加があり、大盛況だった。
このまま終わるのももったいないと思い、若干企画を変えながら、今年も継続企画を提案した。それが以下のようなものだ。企画のタイトルをこのブログのタイトルにしている。ことばをめぐる研究は、1980年代はともかくとして、それ以後、特にここ数年間は従来の「ことば」の専門家以外の参加が著しい。そこで、NPO、日本語教員、理科系研究者を報告者にして議論することにした。私は、司会兼パネリストとして登壇する。
企画概要は、以下の通りであるが、異色の研究者や実践家を組み合わせながら、素敵な議論をしていきたい。
ラウンドテーブルは、6月の学会初日に開催される。詳しくはまた。
発表・企画内容概要:
大学初年次教育のなかで、「ことば」に関する科目(日本語表現法、言語表現などの科目)が本格的に始まって10年以上が経過し、全国の3分の2以上の大学でも類似科目が開設されている。こうした量的な拡大と共に、質的にも様々な改善も見られている。もちろん、そうした肯定面と同時に、以前未解決な課題も残されたまま肥大化していることも否定できない。
本テーブルの論点は、昨年度のテーブルを発展させたものと位置づけている。そこでは、それぞれの専門分野を持ちながらも、「ことば」を求めている仲間達(大学内部にとどまらず、大学外部からも)と議論を深めたい。パネリストとしては、『市民の日本語』のNPO実践家、『アカデミック・ジャパニーズの挑戦』の日本語教員、長年、日本語表現の講義を実践されている理科系研究者と筒井である。