私の専門の一つはe-learningだが、この技術もかなり使いやすくなった。
以前はツールの価格が数百万円単位であり、とても気軽に使える代物ではなかった。しかし、ストリーミングへの関心が高まり、企業ベースの運用が実施段階に入って、価格低下も起こっている。
精華大では、昨年、Ploycomの会議システムを導入し、4地点、サーバなしでの運用を可能にしている。LANでもISDNでも可能である。同社の会議システムは、世界的に見ても有力であり、標準規格(H.320.H.323)であり、映像的にも優れている。しかし、同規格同士しか交信できない難点がある。
もう一つは、Windows+USBカメラでLAN経由での交信が可能になるシステムも導入しているが、映像的には一対一であっても、かなりストレスがある。最低限の交信用であろう。
別のNPOでは、サーバを介しないで分散コンピューティング技術から生まれたアクセスグリッドという会議システムをテスト段階から実用化に向かっている。http://premium.nikkeibp.co.jp/grid/case/case3_1.shtml
先日、万博会場、京都、横浜、函館、米子、熊本を介して実験したが、回線状況さえ確保されれば、ある程度の映像配信が可能である。
そこに、Mac OSがヴァージョンアップしたことで、新しい可能性が生まれてきた。Mac 0S 10.4(Tiger) Severに標準で装備されているiChat AV+ Firewireカメラだと映像的にもH.324規格に合致して、最高四地点での会議が可能である。http://www.apple.com/jp/macosx/features/ichat/
もちろん、H.264規格の映像を受信するには、Power Mac G5+高性能グラフィックボードが必要であるが、オープンソースのJabberプロトコルを装備しているので、一般的なJabbeクライアントを装備しているWindows, Linux, PDAとの交信も可能になる。OSやApplicationの壁を越えたチャットや映像交信が可能になってきた。
これまでWindws Media, Real, Quick Time, Flashと言った定番に加えて、あらたなツールが次々開発されてきている。アイドルや芸能人のコンサートやイベントといった万単位の同時アクセスに耐えうるシステム開発という高価なツールではなく、少人数(10名以下)でのビデオ会議が今後の焦点となる。
ユーザであるわれわれは、こうした技術的発展をどのように導入すれば会議や情報発信が効果的になるのかが問われることになろう。新しいメディアとわれわれの社会の変化とが合致したときにはこれらのメディアが受容されるが、そこに至るまでの試行錯誤の実験には可能な限り関わって、そこでのわれわれの役目を考えていきたい。