三月にあるフォーラムで報告するので、報告要旨を書いた。作成時間はわずか4時間程度だったが、これまでの振り返りと今後の方向性について書いてみた。
日本語表現法の定義や歴史については、近刊の拙著をご覧頂くとして、日本語表現法には、二つの目的があった。
- FDとしてである。教職員の意欲喚起と教育改善に向けた努力を高めるものとして。
- 学生の学びを高めるものとしてである。
本当は、もう一つの目的として、学生が大学生活に適応するように努力する機能として学生指導があるが、ここではこれは取り扱わない。
第一は、講義内容・方式の改善に向けた取り組みである。これは過去10年間に飛躍的に広がり、個別教員の取り組みから組織的な取り組みへと発展しつつある。
第二は、学生の学びを支援することである。初年次教育では、学問の形式的な側面を教えることでかなりの成果が出るが、専門教育の場合には、内容的側面に入らざるを得ない。そこで、どのように専門教育に興味を持たせるのかが次の課題となる。これはほとんど未開拓の領域である。
日本語表現法が専門教育において貢献できるとすれば、学問の習慣や方法論である。どれだけ「非実学的」な学問であろうと、この点をきっちりと教えることが重要である。
学生の学びの意味と将来とを結びつけることが焦眉の課題であり、また私の課題となっている。