週末に、コンピュータの学会が地方研究会を開催したので、参加した。名古屋で開催する初めての試みだったが、椙山女学園大学の鳥居隆司さんが骨を折ってくださった。
名古屋といえば、トヨタ自動車だが、このトヨタ博物館は以外と知られていない。私は、今春、たまたま近隣の大学に仕事をしたついでに愛知万博行きのリニモ側にあるのをしっていた。しかし、名古屋に仕事や観光で来ても、この博物館に寄る人は必ずしも多くない。リニモができるまで交通が不便だったこともあるが、実用車で名を馳せても、それ以上を求めない社風が影響しているのかもしれない。
研究会前半は、元トヨタ中央研究所研究員で現在は、愛知淑徳大学教員辻紘良さんが、ITS(高度交通システム)の概念、歴史、そして将来について報告された。警察、運輸省、メーカ各社が様々な基準で作り上げてきた交通情報の収集、告知システムが徐々に収斂しながら、進んできていることを報告された。
報告が面白かったので、私は、鉄腕アトムの時代に夢想されていた自動車の自動運転がどこまで可能かという質問をした。それについて、一般道では、拠点ごとしか難しいが、高速道路では理想としては可能であるが、現在はまだ歩み出したばかりである、という返答であった。
二人目の報告者は、博物館学芸員であった。館の概要を説明された後、博物館ツアーに連れて行ってくれた。普通、企業博物館といえば、自社製品しか展示しないが、ここでは、日産、ホンダ、マツダといった国産メーカはもとより、外国車も所狭しと展示されていた。博物館の考えとして、自動車文化を歴史的に伝えたいと言うことであり、自社にこだわるのではなかったそうだ。ただし、最近のモデルは展示せず、また高級車やスポーツカーなど特殊用途車ではなく、あくまでも実用車にこだわるとのことであった。
トヨタの在庫管理はカンバン方式で有名であり、工場には倉庫を置かないという社風であることから、博物館に過去の自社製品を集めようとしたときには、在庫がなかったそうだ。徹底して無駄を省くという社風が歴史を継承するという点では意外に盲点であった。そのため、他社の車を含めて、多くは個人から提供してもらったとのこと。春秋の天気のいい日には、オールドカーを走行させるそうで、その時には多くの観客がやってくるとのこと。また、外国車のユーザグループなどが博物館内の私道で、イベントをおこなうこともあるそうだ。
報告と共に、見学も含めた研究会は、体と頭を使って充実していた。