高等教育研究者の間で、自由学園はすごいという話しになり、見学に便乗させてもらいました。自由学園卒業生が受講生になっているとのことで、彼女を経由して学校側に訪問させてもらうことになりました。
こんなすごい学校が残っていたのに驚きですが、昨今言われているアクティブ・ラーニングや主体的な学習という言葉が陳腐になるほど、原点の原点を守っている学校です。
創設者(羽仁吉一・もと子夫妻)により池袋で開校後、1925年に現在の地に移転。それにあたって、ひばりヶ丘駅周辺の用地10万坪を購入し、3万坪を学校に、7万坪を住宅分譲地として開発したとのこと。
幼児生活団(幼稚園)、初等部、男子部・女子部(中高校)、最高学部(大学に相当)と事者教育機関を設立し、現在に至っています。
https://www.jiyu.ac.jp/jiyu/jiyu_a4.html
他の教育機関が大きな変貌を遂げる一方で、大正時代から今日まで、創設者の掲げる生活の中で教育すること、生徒の自由と生徒同士の自己管理を厳格に守って来ています。
寮生活が中心ですが教職員の寮監はいず、登山や旅行は生徒がほぼすべて実行し、食事、庭園、掃除、裁縫、農作物などなど生活のかなりの部分を自前でまかないます。
初等部では1〜6年生が縦につながって6年生が一年生の世話を見、中高では高3生が縦の世話をするという学校自体が、親とは別の家族となって構成されています。
もちろん、あまりの厳しさに親に泣きながら自宅に帰りたいと訴える生徒もいるようですが、上級生が親代わりになって彼らを支えています。
昨年卒業生して、現在、関西大学一年生の藤田優さん自身がそれを語ってくれるので現実味があります。藤田さん自身も下級生の面倒を見るのが慣れているので、大学一年生ではなく四年生の雰囲気ですし、グループワークをする時にはチームをまとめることが身についています。
授業修了時間には、当番が校舎を全体を橋にながら呼び鈴を鳴らしていきます。校舎も木造もあり、中学一年生の最初には自分の机を作って、6年間それを使うとのこと。小学生であっても、自分一人で自宅まで帰るようにしているし、木登りも工具を使うことも器用にこなします。
教員5名で見学に行きましたが、あまりの感動にその晩は寝られないほどでした。
多人数や頻繁に行くと、静寂の雰囲気を損なうということを配慮しつつ、訪れる価値がある学校です。
授業見学は土曜日におこなっているとのことですが、それ以外については、私にお問い合わせください。
当日、じっくり案内をしていただいた卒業生の藤田さんと広報課職員の方にはお世話になりました。