【介護しても、なぜ相手に伝わらないのかという介護者のいらだちは、介護と生活の結びつきを感じることです】

「96歳母の介護をしている」というと、他人から「介護大変ですね」と言われます。それはその通りですが、そこで終わると意味がない。むしろ、自分が言ったことがうまく相手に伝わらなかったことをどうすればいいのかを考えています。

医者などが早口で話したことは母にほとんど伝わってないのですが、相手はわかったと思っている。そこが大きなネックです。

仮に伝わったとしても、それを母がしっかり理解して、それに対応した言葉や行動をできるかは別です。さらに、一度はできても、次もできるかどうかはもっとわからない。

たいていの人は、三、四度繰り返してできなければ、「何度言ったらわかるのか」とどなってしまいます。(私もたまにそういうことがあります。)

でも、最近わかってきたのが、どなることは相手が悪いので直せ!ということです。

でも、本当に相手に直ってほしいと思っていますか?

単に怒りをぶつけているだけじゃないの?

私はいろいろ手を尽くしてもうまくいかない時には、私の悲しさを正直に母に伝えるようにしています。母がわかってくれるかどうかは別にして、自分の気持ちを伝えています。でないと悲しくなるので。そんな時は私もかなり切羽詰まっていますが、ありがたいことに何回かに一度は母が理解してくれます。その時には、心を込めて母に感謝を伝えます。

次回がどうかはわからないにしても、今回やってくれたことが本当にありがたいです。そんなことを考えていると、介護の苦しさよりも、こちらができることに集中します。

私ができるのは、まずは体調管理と時間調整をすること、そして、介護業務を一人で抱え込まないことです。それによって、母を受け入れられるようになります。

もっと言うと、介護者の意思を伝えることに気持ちが傾きがちですが、むしろ介護される側の話しをじっくり聞く方が重要です。

母が気になっていることや不安感をじっくり聞いてあげることが一番効果があります。じっくり聞くことは介護者と被介護者との間をつなぐ「つぎな」になります。

これを体験したのが、母の介護です。でも、介護と自分とがつながっていることがわかったのは、実は介護ではなく、2013年から大学の授業でやってきたことです。

仕事から介護がわかるのは不思議ですが、日々の仕事で起こるフリクションは、介護でも起こることです。

介護も仕事も生活もすべてがつながっています。

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