【フリーライダーのいないグループワーク:京都工芸繊維大学リーダーシップ基礎1】

過去三年間、京都工芸繊維大学「リーダーシップ基礎1」を担当していますが、毎回不思議に思っていることがあります。それは、この授業には、フリーライダーがいないということです。

フリーライダー問題は、グループワークをする授業にとっては避けて通れない大きな問題です。そのため、フリーライダーを減らそうと、あれこれの対策を練っています。私が担当する他大学の授業でも、放っておくと、

ですが、この授業では、その心配をする必要がありません。大学一年生の選択授業ですし、受講生数も毎年違います。しかも、工学系大学の文科系的な授業ですから、一年生の受講態度は消極的になる可能性が大きいはずです。
しかし、この授業の受講生は、積極的に取り組んでくれます。

フリーライダーが出やすいのは、小グループに分かれて、学生だけで取り組む時です。グループ内にリーダー格がいないと互いに譲り合いになり、何もしないことを誰もとがめないことになります。あるいは、何名かは一所懸命に取り組んでいても、それらにまったく参加しない学生がいるもんです。

しかし、この受講生にはフリーライダーがいません。
もちろん、グループ内がうまく行っていないことはたまにありますが、サボタージュするようには動きません。

前回、クラス内で5グループのプレゼン大会をしましたが、いずれのチームもきっちり準備してきますし、いずれも大差ありません。
 さらに、これも他大学の授業とは違って、他チームの発表に対して、こちらから指名しなくても、質問の手が次々上がります。いつもよく質問する学生以外からも手が上がります。

なぜフリーライダーがいないのでしょうか?

一つは、一年生の中には、この授業がグループワークをする授業として認識されているので、グループワークに抵抗のない学生が多いことです。
 他のリーダーシップ科目を担当して思うのですが、授業時間が5限目であっても、受講生は実に意欲的です。リーダーシップに関心がある学生が一定数いるので、彼らがこの授業の流れを作り出しています。決して多数ではないにせよ、一部の学生にとっては、リーダーシップ系授業は、積極的に取り組む授業であると認識されています。

もう一つは、SAの存在です。昨年の受講生から、SA(Student Assistant)になる学生の存在が非常に大きいです。教員が中心になって授業を進行しがちのなかで、SA中心の授業をしているので、彼らが学生と教員の間で尽力しています。この存在はかなり大きいです。私なんかは、SAに引っ張られて授業しています。

他にも理由があるかもしれませんが、これら二つが非常に大きいです。フリーライダーがいないことで、教員側も安心して授業に取り組めます。

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