「『はだしのげん』は、原爆の悲惨さや平和の大切さを訴える社会派マンガと思われているけど、実はそうではないですよ。」
本日、精華大学の付属施設の「京都国際マンガミュージアム」で開催された講演会で、ミュージアム研究員の表智之さんが次のような説明をした。
社会メディア学科の学科講演会として、毎月開催して、学生や教職員の人にも話を聞いてもらおうという企画である。通常、学科講演会は学内で開催するのだが、マンガミュージアム研究員が講師ということもあり、別の場所で開催した。
実は、私自身は、マンガを読むタイプでない。もちろん、子供の時には本屋さんから毎週新刊を届けてもらったので嫌いなわけではないのだが、あまり執着心がないまま今日に至っている。もっとも、学生の方は、マンガ・オタクが多いので、卒論もこうしたテーマが多い。彼らの努力に報いるためにも基本的な知識を頭に入れると同時に、自分自身の若かりし頃を振り返るきっかけとしてマンガを外から知ろうと思っている。
そこで、本日の講演会に参加したのだが、『はだしのげん』だけが一人歩きして、社会派アニメととして別扱いになっていること。しかし、当時の状況を振り返ると、もっとエンタテインメントの洪水の中であっても、作者が伝えるメッセージの強さではなく、作品自体の素晴らしさが秀でていた事を語ってくれた。少年ジャンプやサンデーなどのマンガの王道とは別の路線で、ジャンプが1970年代に徹底したエンタメ、若手発掘、人気優先という際だったポリシーを持っていて急激な支持を得たのであった。エンタメの王道をねらったマンガ雑誌の中で、テーマ的に異色でありながらも、読者は必ずしもテーマ的な違和感よりも、その面白さに惹かれて、食いついていた様子について、現物を見せながら解き明かしてくれた。
さあ、来月は、私が推薦したゲストである。これについては、後ほどお知らせする。