1/29 京都工繊大の授業終了。学生は、自分で授業を創れます!

昨日、工繊大の授業が終わりました。最後だからというわけでもないと思いますが、見学者16名と過去最高の数で、11月にゲスト講師で来てくれた坂木茜音さんもZoomで参加してくれて、教室一杯の学生、見学者、ボランティアでした。

当日は、授業最終日ですが、学生グループの発表と全体の振り返りをおこないました。
学生グループの発表は、「公園を作ろうという」テーマで、40分間の授業でした。授業の詳細は、見学に来てくれた細見幸市さんがきれいにまとめてくださっています。それを引用させて頂きます。


私がずっと参加させてもらっていたチームの授業の発表
(奈津子ちゃん、かなこちゃん、三ツ村くん、深瀬くん、関口君 と明星高校1年 木下 湧斗 (上善湧斗)くん、細見 の 7名)
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● 公園をつろう (40分)
~自然からみる遊具のあり方~
① 現在 の 遊具:(基本)用途が一つに決められている
② 世界 の 遊具: 用途を考えて自由に遊べる
③ 空間デザインの 遊具 : 用途が限られていない
キーポイントは『自然・曲線・有機的』
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▶お題 : もしも今、タイムふろしきで 子供になったら どんな公園で遊びたい?
『用途の決まっていない「遊具」をつくり、フィールド( 土(砂場ほか)・木(林や森)・水(池や湖)のエリア )に配置』
● ルール(条件)
① 紙粘土でつくる
② 与えられた 要素カード に添ってつくる
③ 要素カードは 他のチームと交渉して、交換をお願いするのも可能
④ 1分間で 各グループのデザインのポイントをプレゼンする
⑤ 制限時間25分
グループで、大きいものを一つでも、小さいものを複数つくって配置しても良し
最後に、各チームで票を入れ合い、優勝チームには『個々に 本わらび餅』を!
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で、5チームが以下のテーマ(要素カード)に添って作業を。
● 苔(こけ)+ すべる
● 珊瑚(さんご)+ かくれる
● 岩(いわ)のぼる + おりる
● 川(かわ)わたる + ぶらさがる
● 氷(こおり)ふむ + ころがる
各チームには、オブザーバー(見学者)が参加し、 学生さんたちと一緒 に「あーでもない、こーでもない」と 話し合いながら 作品を作り上げる。本当に皆さん、笑顔で『かみ粘土』で楽しそうに作品を作っていました。

見学者には、小さな子供さんもいたり、社会人の方もおられたのですが、紙粘土を使ったワークは誰でも楽しく取り組める点で素晴らしかったです。実は、学生グループのテーマは聞いていましたが、実際にどんな授業をするのかはまったく知らなかったので、新鮮でした。

中には、学生に授業時間を委ねるにしても、学生が何をするのかを教師が知らないのをいぶかる方もおられるでしょう。でも、もし教師が学生のやることを事前に知っていたら、教師はどうしますか? 教師は、学生のやることに意見してしまわないですか? 私の授業では、教師にはあえて学生の発表内容を知らせず、本番で初めて知ることにしています。実は、かなりヒヤヒヤなんですが、でも、学生はきっとやってくれる、と強く思っていると、必ずやってくれます。学生や授業ボランティアへの信頼感というか、事前に知らないことによって、学生自身の主体性が確保できます。

それにしても、今回の学生の授業は素晴らしかったです。この内容はとても私にはできないですし、誰もが楽しめる点で、何十年も教師をやってる私にとっても衝撃でした。この学生から来年度前期リーダーシップ基礎1のSA(Student Assistant)が何名か生まれてくるのが楽しみです。

そもそもは、「大学の授業を一緒に創りませんか?」という呼びかけに応えてくれた二名の授業ボランティア(西森寛さんと安田圭佑さん)は、互いにかなり違ったパーソナリティーながらも、その違いから生まれてきた役割分担がうまく機能していました。アイデア出しに優れた安田さんがきっかけを提案してくれて、西森さんがそれを授業で実施できるように落とし込んでくれたことは、新しい連携の仕方だと思いました。いずれも実力のある方なので、その良さを体現してくれましたことに感謝したいです。その結果ですが、学生の変容がすごく大きかったと思います。

この授業に関わった授業ボランティアと私は、3月18日に京都大学で開催される「大学教育研究フォーラム」でポスター発表します。どうぞご覧下さい。

教師と授業ボランティアの関係について、見学者の方が質問が出ていましたので、私の意見を書きます。

授業担当者としての最終責任は教師にあります。これは、大学設置基準に「授業担当者は教授(非常勤含む)とする」という規定があるので、それに則っています。ただ、この法律には、教授以外の人が関わってはいけないという規定はありませんので、受講生などが授業進行してもおかしくありません。授業ボランティアを募集はそれにしたがっています。教員と授業ボランティアとは、最初は一緒に取り組んでいきますが、徐々に後者だけで進行できるようにしていきます。授業ボランティアが教員の補佐から、学生の学びの同伴者になる過程は、年ごとに違います。

授業時間90分間で教員が登壇できるのは授業当初と最後の10分間以内と決めているので、80分間はボランティアが中心になって運営しています。ボランティアの進行中には、教員から学生に直接伝えることはありません。必ずボランティアに意見を伝えますが、それを学生に伝えるかどうかはボランティアの判断を尊重します。教師がボランティアをどこまで尊重するのかは、ここが岐路だと思います。

実は、多くの教員は、責任が自分にあるならば、すべて自分でやらなければならないという固定観念がありますが、私はボランティア中心にしても、自分の責任は十分にまっとうできています。要は、教員の個人の自制心でおこなうのではなく、制度として10分間という制限を決めておけば、それまでに終わらざるを得なくなるということです。

専任教員だった2013年から、ボランティア中心の授業をおこなっていますが、専任教員か非常勤講師かの違いはあっても、あまり変わらないです。それよりも、どんなボランティアが来るのかによって、ある時はメンバーの連携がうまく行く時も、そうでない時もあります。しかし、たとえうまくいかなかった時であっても、教師がそれに介入することはありません。ここのメンバーの善し悪しを決めるのは教師の仕事ではないので、ボランティア同士の関係は、ボランティア内で対応してもらっています。誰に対してもフラットな対応がこの仕組みの支えとなっています。

最後に、今年の見学者は実に多様でした。見学者の募集は、三年前から、教師ではなく、ボランティアの方にお願いしているので、ボランティアにとって見学者がいる方がいいと思った時には数が増えてきます。

以前からタイミングが合えば来ていただいている方がおられることが強みですが、今年の特徴は、あまり強いつながりがなくても頻繁に来て頂いたこともあったことです。また、たままた教師に連れられて大阪からやって来た高校生が学生チームと混ざって授業計画を練っていたことには驚きましたし、親とは葛藤を抱えつつも、授業に来てくれた中学生がゲスト講師の話に魅せられたことはいい経験でした。

最終日の1月29日には、16名というかつてない数の見学者に来て頂き、学生チームのワークに一緒に参加してくれたことです。

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