「コミュニティー放送における市民の情報発信支援」事業報告書発刊

昨年9月に京都メディフェスが開催されたが、その前後の事業を資金的に支えてくれたのが、京都産学公連携機構「文理融合・文系産学連携促進事業」(代表・龍谷大学経済学部松浦さと子さん)であった。

特定の組織に依存しない市民活動の常であるが、イベント前にはほぼ資金がないままでスタートする。誰かの好意で、イベント終了まで資金的に立て替えてもらい、当日の参加費などの収入が得られることなどで、最終的には収支を均衡させるのが精一杯というのが実情である。それでも、今回の場合には、赤字が発生しなかったために、大きな遺恨は残さなかったのである。こういうぎりぎりの財政状況でイベント準備していた。そのため、事前イベントを開催する場合には、その資金的な目処を立てないといけない。

その意味で、この事業資金は、決定的に大きな役割を担った。事前イベントを数回開催して、関西外からもゲストを招聘する資金的裏付けをこの資金が担ってくれた。また、終了後の振り返りイベントにおいても、ゲスト講師の謝金、報告書制作費などの一切をこの資金が肩代わりしてくれたのであった。

松浦さと子さんの指名で、私が報告書の前書きを書くことになり、上記の経過とその意味について以下のように述べた。さと子さんおよび龍谷大学には、期して感謝する。

はじめに

 2008年は、京都や全国の市民メディアにとって非常に重要な年となった。

 9月初めに、廃校になった小学校跡地(元立誠小学校)で第6回市民メディア全国交流集会(略称:京都メディフェス)が開催された。全国から1200名以上の参加者が、まだ京都の暑さが残る会場に押し寄せてきた。参加者の中には、コミュニティーFM、ビデオジャーナリスト、学生、アーティストなど、市民の中での多彩な情報発信をしている人々が集まった。もちろん、また何かのきっかけでこうした活動の事を知り、当日参加した参加者もいた。また、京都でNPO活動に関わっていたが、これまでメディアとのつながりを考えていなかった若者や、メディアを学ぶ学生が全国の活動を知りたいと思って参加した学生もいた。こうした仲間の動きが一同に介したのが、上述の京都メディフェスであった。

 このメディフェスを開催するにあたって、今回の助成金プロジェクトは大変大きな貢献をした。代表の松浦さと子さんと龍谷大学の努力によって、助成金が獲得できたことがまず端緒であった。それを元にして、京都メディフェス開催前には、プレイベントにおける講師謝金・旅費などに使わせていただき、開催後には総括と今後の方向性を開くために、セミナーを開催し、その講師謝金や旅費などに充当させていただいた。こうした活動記録および成果は、この報告書だけにとどまらず、Webその他でも掲載されているので、成果を広く利用することができる。なお、プレイベントに来ていただいた横浜の原総一郎さんが、先日、思いがけなく急死されたことは大変な痛手であるが、その活躍の一端がこの助成金で実現されたことは大きな足跡となったことを申し添えておく。

 この報告書には、助成金申請メンバーがそれぞれの関わりと、その中での思いを書いてもらっている。メンバーは、京都三条ラジオカフェに関わる中で意欲的な活動を展開している。私もそこに関わりながらささやかな貢献をさせていただいている。ラジオカフェは、日本最初のNPO放送局ということで、設立当初からメディアや市民からの注目を浴びてきた。しかし、そろそろ次の段階へと飛躍する必要性もある。つまり、単にNPO放送局という制度問題ではなく、番組内容やラジオ局の活動自体がさらに次の展望を開く方向へと動く必要がある。そうした点を記録し、また試行錯誤をする意味で、この報告書は大変重要な役割を果たしていると思う。全国の市民メディアや市民の活動に少しでも貢献できれば幸いである。

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