以前のブログで紹介した、前任校の学生が精華大にやってきた。
大阪にある公立大学修士課程の院生だが、先日内定が取れて一段落がついたので、遊びに来てくれた。
就職活動に関して彼が痛感したのは、北陸と関西との情報量や就職支援活動の差であった。大阪にいると、会社訪問先への近さがあり、圧倒的に有利であることは無論であるが、彼が就職活動をするのに役立ったのはそれだけではなかった。大学院入学後すぐに、学生が主体になった会社訪問説明会に行ったときに、就職活動を経験した学生や卒業生などが、その体験を元に、これから就職する学生向けに、情報提供、エントリーシートの書き方、面接の練習などをする機会を提供してくれたとのこと。
そこで知り合った学生同士で、こうした団体を紹介しあって、就職活動の準備が一気に進んだとのこと。私が他の就職関係者から聞いていたとおりに、彼は30社以上訪問し、面接やエントリーシートに関しても個性を大切にした内容を盛り込んだそうだ。もちろん、うまくいかなかたことも多々あるが、結果的に希望職種であった人材派遣企業に決まった。
大学一年生の時の彼からすると、説明も明晰で、受け答えがはっきりしているので、話していても気持ちがいい。自信を持って対応している姿を見て、これならば内定がもらえるはずだと合点がいった。
そして、関西では、彼のように内定が決まった学生が、自分がお世話になった就職支援団体に協力するというサイクルができているとのこと。彼によれば、「こういう団体や活動が関西だといっぱいあるが、北陸にはほとんどないし、ましてや同級生同士も相互に情報交換する雰囲気がなかった。都市部にいるとやはり就職は有利だ」そうだ。
寡聞にして、私は、学生主体の就職支援グループがたくさんあるとは知らなかった。精華大の学生にもこうした活動に入り込むことで有利に進めることができるだろう。
彼にもう一つ質問してみた。
「文科系院生の就職活動は、学部生と何が違うのか」と聞いたが、彼は、「一般に文系院生の就職活動は不利だと言われるが、私の体験では企業側は特別視することはなかった。したがって、院生だからといって、不利なことはなかった」と言ってくれた。彼の回答こそ私が知りたかったことであり、精華大の学生も見習うべき事である。つまり、精華大生は、「精華大生は就職が不利だ」と思いこんでいる。そうではなく、まず自らが最善を尽くすことで先が開けることを実践しないといけない。
ついでに、彼がいいことを言ってくれた。「精華大のように、個性的な活動や生き方が好きなタイプは、就職活動に有利です。頑張ってください」と。実態は、学生時代の個性的な活動と、卒業後の生き方とがうまく結びついていない場合が多いのだが、要はそれを結びつけさえすれば、可能性が開けるのである。
いずれにしても、大学時代に学習習慣を身につけ、卒論にも意欲的に取り組む学生は、就職活動にも意欲的なことが多い。事実、こうしたことは必ず就職活動に役に立つ。当たり前ながらも軽視されているが、教育と就職とはやはり密接に結びついているのである。
さっそくゼミ生にもこうしたアドバイスをしてみたい。