高校の授業に、大学教員と学生がやってきた

京都のある公立高校の授業で、「自己表現力セミナー」という試みがおこなわれている。

端的に言うと、大学の初年次教育でおこなわれている基礎ゼミやプレゼンテーションの内容を高校生に合わせた授業である。一昨年からこの高校の授業に関わって、それが今年度最後に授業として始まったのだった。自身自身が担当するのではなく、さらに広がった意味で、感慨深いものがある。

この授業は、従来の高校の授業とかなり違う。

その特徴は、

1.従来の授業とは異なり、科目を越えた担当教員集団を中心にした運営をしたこと。

  これって、高校の授業ではまずない。教科の縛りが強いのが学校の特徴なので、それを越えることはかなり大胆な試

  みである。もちろん、大学でも以前はそうだったけど、現在はその縛りはかなり緩くなっている。

2.授業内容として、教員の専門分野を教えるのではなく、表現力の育成という、より普遍性の高い内容を教えたこと。

  1.に関連することだが、専門分野以外を教えることは、教員にとって非常に勇気のいることだ。

3.伝統的な知識伝達型の授業ではなく、グループワークを導入したワークショップ型の授業方法を採用したこと。

  高校の授業は、知識伝達型の授業が多いので、グループワークを担当したことのない教員にとってはかなりハードル

  が高い。

4.授業を支援する大学生サポーターと担当教員とのチームティーチングをおこなっていること。

  高校の授業では、学外者が授業に関わることはかなり難しい。ましては学生が授業にずっと関わることはかなり珍し

  いことである。

確かに特徴はあるのだけど、高校での授業に参加できるのは刺激的だ。だって、ごく普通の、そして場合によると、嫌々授業を受けている生徒の中から、少しずつ変化がわかるのだから。初めは人前で話すことができなかったり、また文章も長く書けなかった生徒が、半年経つと確実に変化している。

高校の教員と学生サポーターのなせる技で、こうした試みが今後さらに広がることを期待して、今後に備えよう。

 

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