グループワークを伴う大規模授業をZoomで可能にするために(5)

私は、2016年1月からZoomを使い始めて、大学の授業に活用しだしたのは2017年春からです。授業しながら、Zoomをつないで、教室の声と映像をオンライン参加者に届けてきました。

授業が教員一人で進行させるのではなく、昨年度の履修生から選抜されたSA(Student Assistant)中心の授業であったので、教師である私はZoom操作もできました。

といっても、当時の中継はトラブル続きでした。グループワーク主体の授業だったので、マイクから遠い人の声は聞こえづらいし、カメラも固定だったので見たいところがよく見えない。そこで、「もっと声をしっかり聞こえるようにして欲しい」というおしかりを受けたこともありましたし、カメラ位置も悪かったです。

それでも、オンラインから常時4,5名の方が参加されていました。私が時間的な余裕がある時には、オンライン参加者とチャットしたり、話したりしていました。そうこうしている時に、リアル主催者がオンライン参加者全員を担当するよりも、オンラインはオンラインに任せる方が良いと思いました。

そこで、オンライン参加者全員の安心安全な場を確保して、話し合いを促進する役目を持った「オンラインファシリテーター」という役割が生まれてきました。この役割については、昨年10月に発行された『初めてのファシリテーション』という本に書かせて頂きました。他のオンラインイベントでもオンラインファシリテーターの必要性が生まれてきて、多くのオンライン参加者が来るイベントでは必ずオンラインファシリテーターを置くようになりました。

これまで対面授業をされていた教員が、今、オンライン授業に転換していますが、教員一人で大規模授業をやろうとすると、うまくいかないのではないかという疑問を呈されています。それはもっとなことです。

対面授業では教師一人でできても、オンラインの大規模授業では、教員と別にオンラインファシリテーターやテクニカルサポートを配置すべきです。教員だけで大規模なオンライン授業を進行させるのは無謀です。このことがわからないまま、対面授業ではうまくいくのに、オンライン授業ではうまくいかないと教員は嘆いています。

また、コロナ騒動当初は、オンライン授業にはZoomが必要という話しでしたが、最近は、Zoomの技術的欠陥や通信回線の容量、自宅からつなぐ学生の通信容量制限、Zoomより他のツールの方が良いという議論も出てきました。

いずれの意見ももっともなことですが、だからといってZoomはダメということではありません。今問われているのは、一つのツールがすべていいという思考が問題であることで、どの大学もどの授業もすべて同じではなく、むしろ、多様な挑戦が行われることが大切です。

コロナ騒動前からZoomを使って挑戦している段階では、全国的な通信容量制限を考慮する必要はまったくありませんでしたので、フルスペックでZoomを使うことが可能でした。私のような変わり者は、三年前からICT系の学会で、Zoomを使った挑戦を発表していましたが、面白いほど反応がなかったです。でも、将来わかってもらえると思ってまったく気にしませんでした。当時はそれでよかったのです。

しかし、4月からは、全国や大学全体の通信容量、教室や特定の場所、学外のWifi環境などを考慮しながら、活用していくべきです。これらの環境はやがて整備されてきますので、それまでは節約気味に使っていきましょう。LineやLMS、Youtubeなどに負荷分散することも大切ですし、一つのことに集中しないようにやっていけばいいです。

Zoomに限らず、いろいろの挑戦がもっと行われることが一番望ましいことです。

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グループワークを伴う大規模授業をZoomで可能にするために(5) への2件のフィードバック

  1. 坂本 清彦 のコメント:

    学期初頭だけリアルなし自習課題提示やオンライン授業、後はリアル授業との私の大学の目論見が怪しくなってきて、学期通じてオンラインの可能性も出てきました。

    ゼミなんかは学生の通信環境が確保できれば、私一人でZoomでも大丈夫そうですが、担当するファシリテーションの授業がなかなかにチャレンジングなものになりそうです。
    大規模ではないですが、アシスタントというか、オンラインファシリテーターが必要だと考えています。
    筒井さんのところにアドバイス求めて駆け込むかもしれません。

    それから、「Zoomに限らず、いろいろの挑戦がもっと行われることが一番望ましいことです。」
    おっしゃる通りだと思います。

    Zoomだけ、Zoomだめ、のような硬直的な考え方、やり方ではなくて、シンプル・原始的なツール・チャンネルも使いながら工夫したいと考えています。

    いろいろ参考になります。いつもありがとうございます。

    • admin(Tsutsui) のコメント:

      今後どうなるかはわかりませんが、まず、完全オンライン授業を前提に設計していると、最悪の事態に備えられます。
      3月初めからの大学の動きを見ていると、小出し小出しに対応を考えていますが、最悪シナリオを考えてないです。
      私は最悪シナリオから考えているので、あまり困りません。

      時間が空いていれば、いつでも対応しますので、ご連絡下さい。

      授業のオンラインファシリテーターでもやってもいいですよ。時間が空いていればです。

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