【アクティブ・ラーニングの現場:高校編】 【銅駝美術工芸高校:美術探求】

【コンセプトを明確にすることから始めます】

本日、銅駝美術工芸高校の「美術探究」(2コマ連続)の授業見学に伺わせて頂きました。以前から知り合いの先生からのご紹介でした。2015-11-20 09.25.32

最初の時間は、ヨーゼフ・ボイスやナム・ジュン・パイクといった現代アートの作品を見ながらそれを鑑賞する授業でした。

この学校では、今年度、iPad40台を導入し、授業時間中生徒に貸与しています。iPadを使った授業としてこの授業を紹介されました。

これまでの美術史の授業では、先生がプロジェクターで前に写した絵を解説するそうですが、部屋が暗くなると、居眠りする生徒も多くなって困っていたとのこと。それがこの授業では、貸与されたiPadを操作するので生徒をそれぞれ個人の活動を求められるので、寝ることはありません。確かにそうでした。

指定された映像は、iTunes Uに置いておいて、各自がそれを見るのですが、必ずそれに対する感想を掲示板に書き込みます。その上で、それらを見てから、再度感想を書き込むということをしていました。感想のメタ認知高めることです。

次に、ナム・ジュン・パイクと共にビデオアーティストとして有名なビル・ヴィオラの「驚く者の五重奏(The Quintet of the Astonished.)」
を見て、時間の概念について掲示板に意見を書き込みました。それを踏まえて、時間についてのビデオ作品をチームで作ることになりました。

手順は、以下の通りです。

コンセプト決め       5分間
撮影           10分間
編集           10分間
発表(表現意図について)
掲示板に感想を書き込み

私も授業でチームで映像などを作るワークを学生にしてもらったことがありますが、通常の学部の学生だと「コンセプト決め」「撮影」「編集」「表現意図の説明」がうまく回らないことが多いです。美術科の生徒だとこの区別がすぐにできることに驚きました。短時間でいかにこのプロセスを回していくかの訓練は、実は作品制作に限らないことです。このプロセスを他人事ではなく、常に一人称で考えられるかです。

2015-11-20 10.25.22授業終了後に、担当された渡邊先生などにお話を聞きました。昨年頃からアクティブ・ラーニング型授業に向けた取り組みの一環で、iPadを導入した授業を始めて、一人一台でタブレットを活用しています。これによって、授業への集中度、意見の表出、作品制作などが可能になったことで、これまでの授業とは大きく違うとのことです。

来年度には、貸与ではなく、生徒に購入してもらう段階に移るそうです。これによって、タブレットの自宅持ち帰りを前提にした教育への転換を図っていくそうです。

学校内でもまだまだ発展途上の動きだそうですが、管理職も積極的に支援をおこなっているとのこと。芸術分野での改革もはじまっています。

2015-11-20 11.15.47
写真 右 渡邊先生 中 梅林教頭  左 福丸先生

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